BREXITの経緯と課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
BREXIT最大の難関、アイルランド国境問題とは?
BREXITの経緯と課題(4)通商協議とアイルランド国境問題
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
EU離脱が2019年3月の期限に間に合いそうにないことから、1年9カ月の移行期間の延長が暫定合意された。イギリスも本格的な協議に入ったが、EUとの主張は平行線をたどる。さらに、メイ政権は閣外与党の民主統一党との間で対立が生じているという。それは北アイルランド国境問題である。(全8話中第4話)
時間:10分39秒
収録日:2018年12月4日
追加日:2019年3月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●移行期間の延長決定と通商協議の開始


 しかし、なかなか(EU離脱への)交渉は進みません。そうすると、関係企業は、交渉が進まないまま時間切れになったらどうするだろうと心配になり、「それではとんでもないことになる。それに備えて危機管理しなくては」という議論が出てきたのです。

 EU当局は、あまり交渉が進まず2019年3月にはまともな結果が出そうもないので、早くも移行期間を設けて延長してあげようかという議論が出てきたのです。延長期間は1年9カ月ほどですが、実際その議論に入ろうとすると、またいろいろと細かい問題が出てきて、なかなかうまくいきません。

 そうこうしているうちに、2018年3月に、テリーザ・メイ首相がロンドンで大演説を打ったのです。それは、イギリスはEUと世界一緊密な自由貿易協定を結ぶ、というものです。イギリスは、独自に規制を定める権限を取り戻す。しかし製造業については、無関税の恩恵を維持したい。こういうことを話したのです。EU当局はこの演説に「またあの人はいいとこ取りしているぞ」とあきれてしまったということで、交渉はどうなるかますます見えなくなってきたのです。

 しかし、2018年3月22日に開かれたEUの首脳会議で、移行期間を2020年末まで、1年9カ月延ばすという内容でようやく暫定合意となりました。それから、移行期間中の単一市場残留については、4月から準備的な協議をしようということになりました。これも暫定合意です。一方、アイルランド問題は複雑であるため、本格協議は先送りになりました。その時、面白いことに、イギリスは「TPPに参加してもいい」と言ったのです。ようやく通商協議に入るめどが立って、これから時間との闘いになるわけですが、これはたかだか半年前ほどの話です。2年間という準備期間があったのですが、1年半ほとんど浪費してしまったわけです。

 ここで、金融が非常に注目を浴びます。というのは、イギリスで一番強い産業は金融だからです。

 イングランド銀行の立場と財務省の立場は相当違います。イングランド銀行は、独自性、独自のルールを設定できる余地を残しておきたいのですが、EUはこれに反対です。財務省のほうは、今の状況を維持したいと言います。そのほうが税収は上がるからです。EUは、イギリス国内の議論が割れているのを見ていて、こういう案を出しました。それは「equivalence rule」といいますが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
企業改革の核心は何か(1)組織の危機をいかに克服するか
V字回復のためには社員に「個人の痛み」を迫る覚悟を持て
三枝匡
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部