BREXITの経緯と課題
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
テリーザ・メイ首相はどのような人物なのか?
第2話へ進む
「合意なきBREXIT」とは何なのか?
BREXITの経緯と課題(1)合意なきBREXITの悪夢
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
今、BREXIT(ブレグジット)をめぐる政治が佳境である。世界中がこの歴史的出来事について注目している。BREXITはどのような経緯を経てきたのか。論争しているポイントは何か。EU離脱するとなると、どのような問題が生じるのだろうか。今回はまず、BREXITを決定した国民投票がなぜ起きたかを考える。(全8話中第1話)
時間:10分13秒
収録日:2018年12月4日
追加日:2019年2月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●合意なきBREXITの悪夢


 今、BREXIT(ブレグジット)はどうなるかについて、世界の関心が集まり、世界中の皆さんが心配しています。BREXITが経済にマイナスということは分かり切っています。ヨーロッパ大陸で人・物・金・サービスの移動が自由でなくなるということは、経済に必ずマイナスになるからです。

 それは皆分かっていますが、現在不安があるのは次のようなことです。2018年11月25日に、イギリスがEU(European Union、欧州連合)からどのように出ていくのかについて、EUとの間で正式合意が成立したので、全てがうまくいけばそのままEU離脱へと進んでいくのですが、イギリスの議会がテリーザ・メイ首相にかなり反旗を翻していて、場合によると議会を通らないかもしれません。そうすると、全部ご破算になってしまい、「合意なきBREXIT」ということになります。つまり、EUとは合意していますが、本家本元であるイギリスの議会が合意していないということで、このまま漂流するか、最初から交渉をやり直すか、あるいは国民投票をやり直すか、大混乱なのです。

 さて、合意なきBREXITとは一体何なのか。イギリスは、これまでEUの加盟国として、投資・貿易・金融・雇用・運輸、あらゆる面でEUが持っている単一市場、それから関税同盟を活用して、関税は要らない・投資や雇用は自由・金融は国境を越えたライセンスが手に入る、としていたわけですが、これが、2019年3月末をもって合意なきBREXITになると、一挙に消滅してしまいます。イギリスは第三国の扱いになるので、そうすると、イギリスの国民、企業、イギリスを訪ねてくる人、イギリスで投資している人たちは、環境が大激変しますから、どのくらいのコスト、トラブルになるのか、見通しがつきません。これを「合意なきBREXITの悪夢」というわけです。


●EUとイギリスの間で2つの合意が成り立つ必要がある


 イギリスのEU離脱は2019年3月末と予定されていますが、それが秩序正しく実現するには、EUとイギリスの間で2つの合意が成り立つ必要があります。

 1つは離脱の条件。もう1つは、離脱した後にどういう通商関係を持つかという政治宣言です。その2つが成り立たなくてはいけません。それは、EUとの関係では基本的に、2018年11月25日に合意が成り立ったのです。

 ところが、イギリスが国内で承認しないとなると大変なことになります。このようなことをして...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
組織心理学~「妬み」との上手な付き合い方(1)いい妬み・悪い妬み
いい妬みと悪い妬みの2種類がある…「嫉妬」の本質に迫る
山浦一保
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留