2019年激変する世界と日本の針路
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イギリスの合意なき離脱は、世界経済危機をもたらしうる
2019年激変する世界と日本の針路(6)BREXITの行方
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
アイルランド問題を解決するためメイ首相は案を出したが、それは非現実的なものであった。メイ内閣の中から次々と閣僚が辞める事態となっているが、メイ首相の意思は固い。このまま「合意なき離脱」になれば、致命的な世界経済危機になる可能性がある、と島田氏は警告する。(2019年1月28日開催島田塾会長講演「激変する世界と日本の針路」より、全14話中第6話)
時間:7分38秒
収録日:2019年1月28日
追加日:2019年5月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●チェッカーズ案は非現実的


 結局EUはしばらくの間、北アイルランドをEUに残しておけば国境がないのと同じだと言いました。北アイルランドをEUに残すということは、イギリスの一部がEUに残ってしまうということだから、何のためのBREXITかということになります。BREXITはイギリスの主権をEUに対して取り戻すという理由で進めています。ですから、離脱強硬派といわれる人にとってはふざけるなということで、その提案は否定されました。

 結局、テリーザ・メイ首相は困ってしまい、2018年の7月にチェッカーズ(Chequers)という自身の別荘でレポートを書いて、それを内閣の人たちに見せて説明しました。一応皆、許可したのですが、これはチェッカーズ案(Chequers Plan)というものです。

 何かというと、モノの取引については全部自由、サービスは禁止というものです。サービスはイギリスが強いので、イギリスの自由にやらせてほしい、ということです。アイルランドはどうするかというと、超ITでやるというのです。それは要するに、人にもモノにもチップを埋め込むということでしょうか。そうすると、行先が分かるという夢物語のような話ですが、EUの人たちの失笑を買うどころか、彼らの怒りを買ってしまったそうです。

 オーストリアのザルツブルクで準備会をやった時、メイ氏は一日遅れでやって来たこともあり、厳しい批判を浴びることになりました。

 そうしたら、メイ氏は怒ってしまいました。彼女は気が強いことに、「あなたたちは自分が書いたこのレポートをきちんと見ず、しかも代替案もなしに、こんなものは役に立たず40日たったら出直して来いとは何と失礼な。私はこれまで、あなたたちと何百日も付き合ってきたけれど、たった一つの言葉が私の頭の中にあります。それは“リスペクト”という言葉です。私は“リスペクト”を持ってEUの代表に付き合ってきました。あなたたちも私に“リスペクト”を持ちなさい」と言って帰ったのです。

 こういう話がフィナンシャルタイムズを読んでいると、全部書いてあります。


●メイ内閣の閣僚が辞任し計画を練り直す


 そして、これでは終わりませんでした。それを出した途端にとんでもないことが起きたのです。閣内が一応理解したと言っていたはずなのに、2日たった夜中に、デイビッド・デイビス氏という離脱交渉担当者が辞めると言ったのです。彼は2016年のメイ内閣...

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