2019年激変する世界と日本の針路
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
中国は国内重視政策から「一帯一路」政策へ
2019年激変する世界と日本の針路(9)中国の外交政策の変化
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
中国では第二期習近平政権が誕生し権力強化がされた。そこで明らかになったのはこれまでの国内を重視した経済政策から転換し「一帯一路」を掲げ、新たな経済圏を作り出す構想が半ば強引に進められている。その一方で国内の情報統制も厳しくなっている、と島田氏は指摘する。(2019年1月28日開催島田塾会長講演「激変する世界と日本の針路」より、全14話中第9話)
時間:6分13秒
収録日:2019年1月28日
追加日:2019年5月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●第二期習近平政権では権力が強化された


 今度は中国に行きましょう。中国では2017年10月に、中国共産党第十九回全国代表大会がありました。これはものすごく重要です。5年に1度開かれるのですがここで一番重要なことを決めるのです。その時に習近平氏が3時間半の演説をしたというので皆、驚きました。

 ここで言ったのは、第2期習近平政権が始まるということです。彼はある長期計画を持っています。2021年は共産党成立100周年なのです。上海で100年ほど前にできました。それから、2049年は蒋介石を追い出して新しい中国ができて100年です。この2020年から2050年までの間に、強烈な世界最強の経済軍事国家をつくる、と言っているわけです。

 そして、自分のことを「核心」というのですが、これはいわゆる普通の国家主席ではなく、それを超越した人ということです。ですから任期がありません。今までは法律ではないのですが国家主席は10年と決まっていたのです。これは鄧小平が毛沢東政治の反省から、そのようにしようと言って決めて、ずっと踏襲してきたのです。習近平氏はその取り決めを取り消しにしてしまいました。それを2018年の春の全国人民代表大会で行ったということなのです。

 どうも終身国家主席になりたいのではないか。なぜかというと、今回の内閣の閣僚7人は中央政治局員といいますが、全員60歳以上なのです。10年先を考えて70歳は定年ですから、50代の人を入れておかないといけないのですが、入れていないのです。

 丹羽宇一郎さんという中国大使をやられた大変な方がいます。この方は、そうではなく、中国の状況があまりにもひどくて心配なので、辞めるというとレームダック(死に体)になってしまうため、そうしないためだ、と言います。

 ですから、おそらく10年たったら辞めるだろうと言います。ただ、辞める前の日まで、辞めないということです。それから50代や40代の人を突然ピックアップすることもできるわけで、それはいいのではないかと見ています。そういうところがあるかもしれません。


●国内重視政策から「一帯一路」政策へ


 ただ今回の習近平政権がはっきりさせたことがあります。鄧小平は、「韜光養晦(とうこうようかい)」といいますが、「爪を隠して力を蓄える」という、「国際関係においてずっと自分を低くして同盟国もつくらず、ただ国内だけを次第に良くしようという...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫

人気の講義ランキングTOP10
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
編集部ラジオ2025(19)堀口茉純先生の「講義録」発刊!
著者が語る!『『江戸名所図会』と浮世絵で歩く東京』
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
日本のエネルギー政策大転換は可能か?(1)原発最大限活用の根拠と可能性
第7次エネルギー基本計画とは?原発活用方針の是非を問う
鈴木達治郎