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「戦狼外交」――中国が香港・台湾に強硬な姿勢を取る理由

2021年激変する世界と日本の針路(5)中国の国家目標と戦略

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
情報・テキスト
政権掌握以来、「中国夢」を唱える習近平主席。「中国はアヘン戦争以来170年の屈辱の歴史を乗り越え、世界の強国になるのだ」と国民を鼓舞する。では彼が押し進める強国化戦略とは何か。また、中国の情報化戦略や覇権志向など、習政権の今を知るためのポイントを押さえながら、今後の中国について考える。(第5話)
(本シリーズ講義では、島田晴雄先生が作成されたレジュメ内容を本文として掲載いたします。そのため、一部、動画では触れられていない部分がありますので、資料としてご活用いただければ幸いです)
時間:14:30
収録日:2021/02/02
追加日:2021/03/06
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≪全文≫

●1. 中国夢と強国化戦略


習近平体制と”中国夢”
習近平主席は、政権掌握以来、“中国夢”を唱え、中国は今や、アヘン戦争以来170年の屈辱の歴史を乗り越え、中国人民にふさわしい世界の大国、強国になるのだと国民を鼓舞。
・中国は1980年代以降、鄧小平の指導による積極的な開放改革戦略で目覚ましい発展。鄧小平は事実上の超大国への道を急進するこの期間、”韜光養晦(爪を隠して内に力を蓄える)という路線を堅持した。しかし2012年、国家主席に就任した習近平主席は、中国の力を内外に誇示する戦略に転換した。
ー強国化戦略
・中国は、2021(共産党創設100周年)を念頭に、
2020:小康社会の全面完成
2035:社会主義現代国家建設
2049(中華人民共和国建国100周年):社会主義現代化強国


●2. 第19五中全会と第14次5ヵ年計画


ー第14次5ヵ年計画(国民経済・社会発展)
・2049年建国100周年にむけても最初の5年
・量から質への転換:イノベーション、協調、グリーン、開放、成果共有
・内需を主体、内外需の双循環が違いに促進する新発展局面を加速


●3. 中国の情報化戦略の光と影


ー中国IT巨人成長の背景:努力と政策支援
ーアリババ
・アリババは今や世界最強の総合プラットフォーム企業。
ーテンセント
・2007、初代i-phone発売。WeChatが改良重ねて人気↑。登録者、2013.1.3億人、改良と進化で、SNSサービスの域を超え、人々の生活スタイルと融合、必要不可欠になった。
ーAnt Financial 問題:習近平政権の支配下に置く規制強化
・2020.11. 中国当局が、香港市場に新規株式公開を予定していたAlibaba傘下のAnt Financial Groupの上場の48時間以内前に、突然、公開に待ったをかけて世界の注目を集めた。Antは世界最大規模のFintech企業で、株式公開額は3.6兆円規模と想定されていた。
・なぜ突然の政府介入で企業の自由な経済活動が制約されたかについてその後、多くの観測がなされたが、主な推論は(1)Alibabaの創設者Jack Ma(馬雲)氏の歯に衣きせぬ発言が習近平首席の感情を害したこと、(2)Antの活動が大規模になりすぎて中国政府の金融政策の管理能力を超えることが懸念された、こととされる。
・AntはFintech技術を駆使して小規模だが膨大な借り手に融資を仲介する事業を拡大してきた。個人情報を緻密に分析してリスクを最小にする技法で事業を拡大してきた。
・IT巨人の発展は中国の経済力・国力の拡大に大きく貢献してきたはず。それをこのような形で規制する中国型専制国家の判断は何か、経済活力を損なう以上の政治価値か?


●4. 露呈する中国の覇権志向


習近平政権:第一、第二列島線提示、新型大国関係提案
・その前提に、太平洋を区分する第一列島線:鹿児島→台湾→フィリピン→マレーシア。第二列島線:東京→グアム島→インドネシア、の戦略構想があった。
ー南シナ海領有権主張、島嶼軍事基地化
・中国はフィリピン→インドネシア北部→ベトナム沿岸を通る”九段線”と称する独自の境界線を設定し、その内側すなわち南シナ海のほぼ全域を中国の主権の及ぶ領域と主張してきたが、フィリピンの訴えに対して、ハーグの国際仲裁裁判所は2016.7.12.中国の主張には法的根拠がないと認定。
・中国は裁判所の判定は無効と主張して、その後もさらに南シナ海に点在する島や岩礁に基地に転用可能な港や滑走路などの施設の建設をつづけている。
ー尖閣列島(魚釣島)実行支配めざす体制の強化
・野田佳彦政権による尖閣列島の国有化以来、中国は魚釣島(尖閣列島)は中国固有の領土であるとして、日本の実効支配を崩すべく、巡視艇や漁船団を繰り出してたびたび領海侵犯を繰り返しており、両国間に緊張感が高まっている。
・中国は2021.2.1.「海警法」施行。中国側が主権が侵害されたとみなせば海警局の船舶に武器使用を認める。尖閣周辺を警備する海上保安庁の巡視船や操業中の日本漁船が対象となる可能性がある。
ーウィグル族弾圧
・中国当局による少数民族ウィグル族(新疆省などに在住)の弾圧はつとに指摘されていたが、2019.11.ウィグル族管理(弾圧)に関する政府内部文書が大量に流出しNYTなメディアが大きく取り上げるにいたり、中国に対し、国際批判が集中。
・内部文書では、ウィグル族に対する大規模な監視システム構築、アプリ利用データを無断で解析、2017.6.には2.4万人を潜在的危険分子と判別。うち1.5万人を収容施設に収容。「職業訓練センター」は収容所。監禁、監視、中国語使用、外部との連絡禁止。
・トランプ政権は、ウィグル民族弾圧はGenoside(民族大量虐殺)と認定。バイデン政権のブリンケン新国務長官は、同じ方針堅持と1.27の初記者会見で言明。
一帯一路AIIBで広域取り込み戦略
ー対インドカシミール国境で武力紛争
・2020.6.インドと中国の国境に接する山岳地カシミール地域で...
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