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バイデン政権で対立が激化した米中関係はどう変わるのか

2021年激変する世界と日本の針路(4)米中対立の展開と展望

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
ここ数年で深刻化している米中対立について、これまでの経緯を踏まえ考えていく。トランプ政権時、アメリカは重商主義を掲げ、対中追加関税の波状攻撃を進めていくが、この米中貿易摩擦の影響は世界経済全体へと広がっていくことになる。さらに、米中ハイテク覇権戦争が繰り広げられていくのだが、アメリカは中国ハイテク企業の自国ならびに世界市場からの排除・締め出しを進めているという。そうなると、中国の国産化は進むことになるのだが、それは世界的情報関連産業のサプライチェーンは分断、つまり世界経済の分断につながる危険性もある。はたしてバイデン政権によって米中関係は変わるのだろうか。(第4話)
(本シリーズ講義では、島田晴雄先生が作成されたレジュメ内容を本文として掲載いたします。そのため、一部、動画では触れられていない部分がありますので、資料としてご活用いただければ幸いです)
時間:10:00
収録日:2021/02/02
追加日:2021/02/27
カテゴリー:
≪全文≫

●1. 米中貿易戦争


ートランプ型の重商主義
ー高追加関税賦課の一本足打法
ー対中追加関税の波状攻撃
・2018.7.6 第一次追加関税発動:産業用ロボットなど340億ドル(約3.8兆円)分に25%の追加関税。中国も同規模の報復に出る構え。
・2018.8.23.第二次追加関税発動:半導体や化学品など279品目。160億ドル相当に25%の関税上乗せ。中国も直ちに同規模の報復。
・2019.9.24.第三次追加関税発動:約2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に10%の追加関税。中国報復。600億ドル相当の米国製品に5~10%の報復関税を即日実施。
ー米中交渉、第一段階合意、高追加関税第四弾は発動見送り
ー中・米・世界経済への影響
・米中貿易摩擦で、全輸入品に一律25%関税がかかる想定。IMF推計
中国実質GDPは最大ー1.5%↓、USは最大ー0.5%↓(モデルは代替効果考慮)
・世界経済全体への影響 -0.8%
ー2020.1.15.の米中合意以降の展開
・2018~19にいたる米中の報復関税の応酬の結果、米国の対中国への関税率は貿易摩擦前にくらべ約6倍の19%、中国の対米関税率は2倍超の20%にあがった。
・2020.1.15.の第一次合意から1年経過した時点で、合意した中国の米国製品大量購入の約束は目標の6割にとどまる。バイデン氏は、トランプ氏の効率制裁関税による交渉は失敗と批判。


●2. 米中ハイテク覇権戦争


ー華為技術(HW)などハイテク企業制裁
ーEntity List(特別規制対象)記載で制裁
・HWは国際分業と協業のメリットを最大限に生かして急成長してきたグローバル企業
ー中国情報力の強化と脅威
・中国の情報力はBATH(Baidu, Alibaba, Tencent, Huawei)などデータを活用する先端企業の成長でめざましく強化。
・人口が多い中国(14億人、USは3.3億人)+一帯一路でさらに10億人が有利。
・中国の監視社会。監視能力は最強。
・GPS(アメリカ版位置測定衛星、1978年に開始)に対し中国は通信衛星システム北斗を(ベイドウ)2000年に構築。2018、全世界に向け北斗のサービス開始を宣言。
アメリカの稼働衛星31基に対し北斗は35基。
ーアメリカの警戒感の高まり
・ペンス副大統領演説(2018.10.2、2019.10.24)は対中強硬派の声を代表。アメリカは中国に手を差し伸べてきたが、裏切られた。アメリカは不公正貿易を許さない。中国の経済強国化戦略は危険だ。
ーハイテク対立は情報システムからコンテンツ・ネットワーク...
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