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問題含みの閣僚ばかりが並ぶホワイトハウス

2019年激変する世界と日本の針路(3)恐怖のトランプ政権

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
トランプ政権は予測不能だ。常識派や国際協調派が次々と辞めさせられている。代わった閣僚を見ると、ホワイトハウスというよりブラックハウスではないかと感じてしまう。そもそも問題はトランプ氏が当選した大統領選挙から続いている。ロシアの関与があったことは濃厚である、と島田晴雄氏は指摘する。(2019年1月28日開催島田塾会長講演「激変する世界と日本の針路」より、全14話中第3話)
時間:07:29
収録日:2019/01/28
追加日:2019/05/15
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≪全文≫

●予測不能な恐怖で権力を確固たるものにする


 マイケル・ウォルフというベストセラー・ライターが「Fire and Fury(邦題:『火と怒り』)」という本を書きました。さらに過激なのは、ボブ・ウッドワード氏です。厚い立派な「Fear(邦題:『恐怖の男』)」という本を書きました。私は英語で読んだのですが、単語を知らなくても読めるという名文で素晴らしい。今、日本語版も出ています。

 そこに詳しく書いてあるのですが、要するにドナルド・トランプ氏は部下に対して、才能・力量はほとんど見ずに忠誠心だけを評価します。それから、非常に権力信仰です。権力の基本は何かというと、「Fear(恐怖)」だというのです。そして、恐怖はどこからくるかというと、突然決断をする、予測がつかない、どこを向いていて、どこへ食い付いてくるか分からない、その恐怖です。

 ホワイトハウスはその中で、互いの猜疑、裏切り、中傷、権力闘争などにあふれています。この話をどこかの大学の学生さんにしていたら、「ホワイトハウスですか、ブラックハウスですか」という質問がありました。これはナイス・クエスチョンですよね。現状はそのような感じです。


●常識派や国際協調派が次々と追い払われている


 そして、常識派や国際協調派が次々と追い払われています。ゴールドマン・サックスの会長をやっていた優秀な経営者で、ゲイリー・コーンという人がいます。ボブ・ウッドワード氏の本の中に何度も出てくるのですが、トランプ大統領が高率関税を掛けるというので、コーン氏は自由貿易や世界経済について何度もレクチャーするのですが、トランプ大統領は理解せず、また理解しようともしなかったようです。そこで、とうとう高率関税を掛けるというのに付き合っていられないということで辞任しました。

 次はレックス・ティラーソン氏ですが、エクソンモビールの前会長で、世界中に事業所や工場を持っているのです。本当に立派な人なのですが、辞めさせられました。しかし、そのことをどのように知ったのでしょうか。トランプ大統領から直接連絡はありません。Twitterを見たら、飛行機の中で後任者を決めた、とありました。それから1時間後に電話が掛かってきて、「やあ、サンキュー、やめてもらうよ」といわれたそうです。

 けれども、このティラーソン氏も、トランプ大統領の話をしている時、「moronではないか」と言っ...
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