東アジアと世界の行方
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
習近平の指導者として危ういところとは?
第2話へ進む
中国の一帯一路は政策としては不安定
東アジアと世界の行方(1)中国の一帯一路政策
白石隆(熊本県立大学特別栄誉教授)
近年変化が著しい東アジア情勢について、立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏が解説する。中国の習近平国家主席は、東アジア戦略として一帯一路を打ち出した。一帯一路はどのような戦略なのか。注視すべき点はどこか。(全6話中第1話)
時間:7分13秒
収録日:2017年11月24日
追加日:2018年3月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●中国はうまく見せることが得意


質問 アジア情勢は近年、非常に大きな変化にさらされていますが、中国の一帯一路政策についてはどうお考えでしょうか。

白石 私の印象では、中国はうまく見せることが得意だと思います。ただし、実際に一帯一路が今後どうなっていくかは分かりません。2013年に習近平国家主席が一帯一路を提案したわけですが、最初はそれまで既に行われていた色々なプロジェクトを集めて、新しいパッケージを打ち出しただけで、やっと2015年後半ぐらいから新しいプロジェクトが入り始めてきました。これは習氏自身が始めたプロジェクトですから、習近平政権が続く間は一帯一路も続くと見ておいた方がいいでしょう。

 しかし一帯一路は、実際には1,000を超えるプロジェクトの集合体です。個々のプロジェクトが大きい全体構図の中にどのように当てはまっているのかというと、正直なところ、うまくいっているものもあればそうでないものもあります。ですから、一見するとすごいものに見えますが、実際には、10年後には「この程度だったのか」ということになるのではないかと思っています。


●中国の戦略とはしょせんストーリーである


質問 歴史家エドワード・ルトワック氏は、中国に戦略はないと言っていますが、とはいえ見せ方が上手いということはすごく戦略的だということでしょうか。

白石 戦略というものの捉え方にもよりますが、習近平主席についていえば、それほど精緻な戦略などあり得ないと思います。最近よく言われることですが、戦略とはしょせんストーリーです。習氏が中国の人たちにとってふに落ちるようなことを言うと、今度は反対に中国の人たちの期待も形作られていきます。国がこうしようと思っているのであれば、こう動いてみよう、と。

 中国の世界戦略も同様です。同様の視点で中国のプロジェクトを見てみると、本当はあるかどうかは分からないけれど、何かがあるように見えてくるのです。こうしたものが戦略だと、私は最近、考えるようになりました。ですから、その意味でいえば中国に戦略はあるでしょう。

 ただし実際問題として、中国の対外プロジェクトの9割以上がコマーシャルベースのローンです。中国輸出入銀行(輸銀)と中国開発銀行が、政策金融としてそれを担っています。ですから、プロジェクトが成功するかどうかはかなり疑問です。ロシアはどうなるか分かり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
AIに正しい倫理を学ばせるには?徳倫理学のススメ
中島隆博
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(5)日本外交の進むべき道
中国の「国進民退」に危機感…これからの日中関係を読む
小原雅博
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部