東アジアと世界の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
トランプ政権で最も厄介な人物とは?
東アジアと世界の行方(4)北朝鮮・サウジアラビア
政治と経済
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
トランプ大統領は東アジア情勢を差し置いて、北朝鮮問題に注力している。政権運営の混乱は予想されていたことだが、娘婿であるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問の行動には要注意だろう。立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏が北朝鮮とサウジアラビア情勢について解説する。(全6話中第4話)
時間:6分56秒
収録日:2017年11月24日
追加日:2018年3月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●バランスを失するほど北朝鮮問題にだけ集中


質問 アメリカの北朝鮮への対応は今後どうなるでしょうか。

白石 もちろん私自身よく分かりませんが、実際問題として表に出てきている話と、日米でコンフィデンシャルに議論されていることの格差は相当あるはずです。もちろんオバマ大統領のように、「戦略的忍耐」と言って何もしないということが駄目だったことは明白です。その意味では、あらゆるオプションを検討することは当然でしょう。

 ただし同時に、トランプ大統領には特有のマネジメントのスタイルがあります。彼について書いているものを読んだことがありますが、私の印象では、トランプ大統領は自分でこれと決めたことについてはものすごくマイクロマネジメントをするようです。そして、それ以外のことは他の人に任せてしまうのです。

 この見方からすれば、トランプ大統領はバランスを失するほど北朝鮮問題にだけ集中し、アジアの他の問題については今のところ他の人に任せているのかもしれません。実際、トランプ大統領が東南アジアの指導者と会って話しても、北朝鮮問題が取り沙汰されました。

 ただし、北朝鮮問題もここまでくると、なかなか本当に難しくなってきています。軽々に用心しろとは言いませんが、正直に言って、軍事的介入の可能性もないとは言えないでしょう。そういう段階に来てしまいました。


●クシュナー氏をどのようにコントロールするのか


質問 ドナルド・トランプ政権が混乱しているということは、不思議ではないように見えます。

白石 そうです。政権発足後1日目からぱっと走って、見事に4年間走りきったのは41代目大統領、H・W・ブッシュ、父ブッシュ氏の場合だけです。彼は副大統領を務めていましたし、それ以前もずっと政府のポストに就いていました。ですから、トランプ政権になって、政権運営が混乱するということは驚きではありません。

 ただし今までの政権と違うところは、娘婿であるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問の存在です。全体に関与しているというのではなくて、特定のテーマがほとんど彼のマターになってしまっています。

 例えば、イスラエルやサウジアラビアがそうです。中国も彼のマターになりつつありましたし、中国の方もそうしてほしいと思っていたでしょうが、今のところそうはなっていません。それは良いことだと思いますが、いず...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
編集部ラジオ2025(18)音楽って実は数学でできている?
動画講義だからこそ音楽と数学の深い関係がよくわかる!
テンミニッツ・アカデミー編集部
「集権と分権」から考える日本の核心(2)非常時対応の中央集権と東アジア情勢
契機は白村江の戦い…非常時対応の中央集権国家と防人の歌
片山杜秀
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(1)田沼意次の生い立ちとその時代
田沼意次とは?再評価で注目の人物像と時代背景に迫る
養田功一郎