BREXITの経緯と課題
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BREXITにおける国民投票は最悪の政治判断だった
BREXITの経緯と課題(8)今後の展望とBREXITの意味
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
BREXITをどのように考えればいいのか。島田晴雄氏は「国民投票は最悪の政治判断だった」と話すが、その底流には世界で今起きている大きな構造変化があるという。シリーズ最終話は、合意なき離脱後の経済的打撃とともにBREXITの意味について論じる。(全8話中第8話)
時間:9分48秒
収録日:2018年12月4日
追加日:2019年3月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●国民投票は最悪の政治判断だった


 これまで事実をずっと見てきましたが、最後に若干の時間を頂いて、このBREXITをどう見たらいいか、皆さんと一緒に取りまとめしてみたいと思います。

 1つは、国民投票という選択をしたことです。これは、私からいえば、世界史に記憶される最悪の政治判断だと思います。シリーズ内でこれまで詳しく言いましたが、デーヴィッド・キャメロン首相がいろいろなことをおもんぱかってこのようなことになったわけです。選挙結果を分析すると、完全に国民は分断されています。ただ、イギリスは議会制民主主義なので、国家の正式な決定は議会にあり、これは参考意見にすぎないということですが、テリーザ・メイ氏は2016年10月に保守党大会で大演説を打って、「この国民投票の結果を政治的に尊重すべきだ」といって採択しました。ですから、その意思がその後の全ての混乱の元になっています。

 メイ氏は大真面目ですが、混乱の元になっています。BREXITはどういう意味なのか、EU当局とのやりとりを通じてようやく分かってきたのです。だから、やり直してしまえばいいではないかとの議論がだいぶ出てきたのですが、しかし、やっぱり政治の信義として、国民投票の重さは否定できないというのが現状だと思います。


●グローバル化という構造変化に取り残された人々の不満


 次に、BREXITと共通する底流は、世界で今起きている大きな構造変化ということです。6月のBREXITの選択は、その後の世界の多くの地殻変動の先駆けになったといえます。例えば、同年の2016年11月にドナルド・トランプ氏が大統領に当選しました。彼はナショナリズムと排外主義を強弁してはばからない、異様な大統領です。戦後70年の歴史になかったような人です。その後も欧州各地でそうした政治家や政治潮流がどんどん台頭しています。その根底には、情報化が進んでグローバル化が進んで、世界規模での競争の激化に取り残された人々の不満と怒りの鬱積があります。

 トランプ氏の登場は彼個人の問題ではありません。あれは、トランプ現象なのです。そういう、現在の経済社会構造の地殻変動の先駆けに、BREXITがなったということではないでしょうか。

 EUは、もともと二度の大戦の戦場になって、莫大な犠牲を払った欧州の先覚者たちが、二度とこのような過ちを繰り返さないために、狭隘な国益を超えて、近代を超えるポス...

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