日本政治の疑問~政治主導と内閣人事局
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
民主党政権は「政治主導」を勘違いして失敗した
日本政治の疑問~政治主導と内閣人事局(5)政治改革の効果と民主党の失敗
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
政治改革の効果の1つは、政権交代が可能になったということである。政治学者で慶應義塾大学名誉教授の曽根泰教氏は、こうした改革の効果を整理しつつ、民主党政権時代の問題について論じる。(2018年6月13日開催10MTVオピニオン特別講演会「日本政治の問題はどこにあるのか?」より、全6話中第5話)
時間:13分04秒
収録日:2018年6月13日
追加日:2018年9月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●小選挙区制だけでなく、比例代表制を導入した効果も大きかった


 政治改革は、目指す方向に向かいました。ちなみに、選挙制度改革は当時政権を取れない野党が選挙に勝つために提言したものではなく、自民党が進めました。

 この改革は後藤田正晴氏(元副総理)や小沢一郎氏が進めていきました。小沢氏の場合、野党側についた際にも政権を取れるように、と考えていたかもしれませんが、後藤田氏の場合はそうではないでしょう。ですから、後藤田氏にはご存命の間に、あの改革によって自民党が政権を失っても良いのだ、という覚悟で取り組んでいたのか、念押しで聞いておきたかった。

 日本に特徴的なのは、野党側が選挙制度改革を言い出さないということです。政権交代は責任政治を意味しますが、日本では長い間、一党優位制ともいえる、自民党の単独政権時代が続きました。しかし、選挙制度改革以降は全て連立政権です。民主党が政権を取った時も連立でした。現在の自民党政権も連立政権です。連立が通常状態になりました。

 派閥の影響も、今は昔ほどありません。派閥で総裁を決めることがほぼできなくなりました。また、選挙にお金がかからなくなりました。昔は、今のように2000万円ほどで当選することはあり得ず、自民党同士の競争で億単位のお金が使われていました。

 さらに、選挙の際には公認が非常に重要になりました。以前のような5人区、4人区、3人区による中選挙区制の場合、無所属の立候補でも有効でした。なぜなら、無所属で当選したら、自民党にくら替えすることもよく行われていたからです。しかし、小選挙区制の下では、選挙区に1人しか候補者を出さないため、与党側も野党側も公認を与えます。特に与党の場合、自民党と公明党がそれぞれ1人ずつ1つの選挙区に立候補させることはあり得ません。だから、候補者は公認を受けた1人でなければなりません。

 同時に、比例代表制を導入したことの効果が非常に大きかったということも、忘れてはなりません。選出議員全体の約40パーセントが比例代表選出であるため、制度設計の際にどのようなことが考えられていたのかを、振り返ることが重要です。


●比例代表制導入の効果は、事前に検討されていた


 このスライドの内容は、第8...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保