日本政治の疑問~政治主導と内閣人事局
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
内閣人事局の人事は忖度?なぜ不公平だとされるのか
日本政治の疑問~政治主導と内閣人事局(3)菅人事の特性と忖度の本質
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
内閣人事局において、現在最も影響力のあるのは菅義偉官房長官である。菅氏が主導する、いわゆる菅人事は、どのような仕組みで行われているのだろうか。政治学者で慶應義塾大学名誉教授の曽根泰教氏によれば、そこには忖度の本質を理解する上で重要な論点が含まれているという。(2018年6月13日開催テンミニッツTV特別講演会「日本政治の問題はどこにあるのか?」より、全6話中第3話)
時間:11分37秒
収録日:2018年6月13日
追加日:2018年9月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●菅義偉官房長官の人事がもつ影響力


 (前回挙げた)質問にもありましたが、内閣人事局において最も影響力があるのは、菅義偉官房長官です。菅氏が直接人事に影響を及ぼしている人数はそう多くありませんが、私の考えでは、菅氏は官僚や若手の政治家を全員チェックしています。どこまで細かく見ているかは分かりませんが、一応頭に入れた上で、人事を考えているはずです。

 厚生労働省事務次官の村木厚子氏や農林水産省事務次官の奥原正明氏、あるいは斎藤次郎氏の日本郵政社長退任と坂篤郎氏の昇格などは、「菅人事」と呼ばれるほど、効果があったものです。白川方明氏退任後の黒田東彦氏の日銀総裁への採用や、小松一郎氏の内閣法制局長官就任も菅氏によるものですが、これらは安倍晋三首相の意向が強かった事例だと思います。こうした代表的な事例があるわけですが、600人の人事を1つずつ菅氏自身が担当しているわけではないでしょう。しかし、リストは頭に入っているので、対象者に対して非常に大きな影響力があります。


●菅人事は政治が順調の時のみ、効果を発揮する


 それが「忖度」だと言われているのですが、その通りだと思います。私の知り合いの財務省の役人も、内閣府で働いているのですが、「忖度業務をやっています」と自嘲的に言います。しかし、忖度するのは当たり前のことなのです。なぜなら、人間だからです。

 以前にテンミニッツTVでも忖度についてお話ししていますが、忖度とは“anticipated reaction”、つまり予測反応です。権力や影響力は、受け手の予測反応によって働いていることがあります。権力を最も持つ人が、何も命令をしなくても、その意向を酌んで人が動いてくれるという状況は、日本だけではなく、世界中で起きていることです。

 そのため忖度とは、内閣人事局という制度ができる前にもありました。大臣や次官の顔色を見る、というような行動です。もちろん、そうした「いやらしい」行動をする官僚は、それなりの評価しか得られませんでした。企業でも同様です。社長にゴマをすった人間が出世するということは、ないわけではありません。

 ただし、ある論説委員長クラスの新聞記者と話をしたところ、菅人事は、直近2年間は実現していないようです。これは大元の政治改革の議論につながりますが、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(序)『ばけばけ』と『神国日本』
ラフカディオ・ハーンの遺著『神国日本』の深い意義とは?
賴住光子
新撰組と幕末日本の「真実」(5)主要隊士、そして羽織や旗の実像
沖田総司、山南敬助、永倉新八、斎藤一…彼らの実像とは?
堀口茉純
「発想力」の技法を学ぶ(2)発見と探究(後編)
セブンカフェ、無印良品…成功事例に学ぶ「デザイン思考」
三谷宏治
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
編集部ラジオ2026(6)賴住光子先生ラフカディオ・ハーン論
ラフカディオ・ハーン『怪談』と『神国日本』の深い秘密
テンミニッツ・アカデミー編集部
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(2)非攻の実践のために
墨子の国防論のポイントは純粋性と知的したたかさ
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博