日本政治の疑問~政治主導と内閣人事局
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現在の日本政治では解決できない問題とは?
日本政治の疑問~政治主導と内閣人事局(6)政治改革の限界と海外の政治モデル
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
政治学者で慶應義塾大学名誉教授の曽根泰教氏によれば、参議院や都道府県の選挙制度など、いまだに政治改革が及んでいない領域は多く存在するという。また、現在の日本政治では解決できない問題もある。イギリスやヨーロッパ、中国の政治制度に学びながら、日本が取るべき方向性を考える。(2018年6月13日開催10MTVオピニオン特別講演会「日本政治の問題はどこにあるのか?」より、全6話中第6話)
時間:12分30秒
収録日:2018年6月13日
追加日:2018年9月16日
≪全文≫

●まだなされていない制度改革はたくさんある


 政治改革がまだ及んでいない部分はたくさんあります。選挙制度改革は、衆議院のみが念頭にありました。衆議院の選挙制度改革は、これによって政権交代を可能にするという意図が制度から読み取れました。

 それに対して現状の参議院における選挙制度は、もはや何を目指したものか分からなくなっています。その選挙制度ができた戦後においては、全国的に知名度のある有識者や、労働組合や農業団体のような職能集団の代表などが出てくるようにという意図がありました。今はそれが曖昧になっています。

 都道府県議会議員の選挙は、中選挙区制と小選挙区制が混在しています。市町村の選挙では、大選挙区であるため、個人選挙です。そのため、保守系無所属は全員敵同士であるため、自分の支持者だけ抱え込めば良いという状況です。野党はこうした状況に弱いのに対し、自民党はこうした融通無碍な保守系無所属という地方議員に便乗しやすく、後援会が重複しやすいといえます。


●参議院選挙改革の論点は1票の格差




 参議院については、事前のご質問にもありましたが、一体どのような理念でできているのでしょうか。われわれは、制度の目的が決まっている場合には、その目的を実現できる制度設計を行うことができます。ところが現状では、目的が分からないのです。

 2015年に公職選挙法が改正され、一票の格差を是正するために、人口の少ない県を合区した新たな選挙区が設けられました。それにより、鳥取県と島根県、高知県と徳島県の選挙区が合区されました。

 これに対する現在の論調は、合区は好ましくないため、参議院の選挙制度を憲法改正によって改革し、合区を解消しよう、というものです。このような論調は本末転倒です。選挙制度改革問題統括本部・本部長の自民党・細田博之氏は、こうした個別部分を糊塗するのが得意なのですが、こうした目論見は憲法改正の目的として望ましいものではありません。

 最高裁がなぜ県をまたいだ合区に関し、政治家が考えるような恐怖感や危機感を持たないのかというと、憲法第92条は日本の地方行政の単位について具体的な記載がないためです。多くの人が、日本の地方行政単位を県だと思い込んでいますが、憲法には県とも市町村、ましてや道州と...

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