選挙制度改革-問われる政党の覚悟
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
身を切るシンボルとしての定数削減では理論的根拠なし!
選挙制度改革-問われる政党の覚悟
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
政治学者で慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏が、座長代理を務めた「衆議院選挙制度に関する調査会」の一員としての視点も交え、衆議院選挙制度改革と調査会の答申について解説する。改革における焦点は何と言っても「定数削減」と「一票の格差問題」。今、改革を通してわれわれは、政党の覚悟を見極める時に来ている。
時間:12分43秒
収録日:2016年1月25日
追加日:2016年2月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●選挙改革制度の方針は「補強、改修」


 このたびの選挙制度改革についてお話しします。私も「衆議院選挙制度に関する調査会」のメンバーの1人として、座長代理でこの改革案に加わりました。本年(2016年)1月14日に議長に答申内容を提出し、その後は議長が引き受けて各党に説明し、1カ月以内に各党の反応を見て、立法化するかどうかというところに来ています。

 この選挙制度の今回の改革とはどんなものか。大づかみに説明しますと、例えで言えば、新国立競技場を建て替えるときに、これを改修して使うのか、更地にして新しい競技場をつくるのかの違いです。ですから、新聞のコメントなどを見ていますと、そっくり入れ替えて、更地にして新しいシステムをつくろうというように受け止めている人もいるのですが、われわれはそうではなく、基本的には古い競技場を補強し、改修するという考えなのです。


●シンボルとしての議席削減では理論的根拠がない


 では、補強や改修とは何かというと、古い国立競技場はすでに壊して無いわけですけれども、古い選挙制度はまだ使えるということです。そして、競技場のどこが弱いかというと、地震に耐えられないという耐震の点でした。それは、政治制度の方でいえば、最高裁の判決があって、1票の格差問題があり、どうやって各選挙区を平等にし、格差を少なくするかということがメインです。そして、もう一つは何かというと、座席数が多い、議席を減らせ、ということです。これは、民主党の野田佳彦さんと自民党の安倍晋三さんが党首討論で議論して、総選挙をやる前提に、改革として議席を減らす。特に3党合意で消費税増税を導入するのだから、身を切る必要がある。身を切るところは、議席を減らすことだ、と議論していました。

 ただ、よく考えてみると、座席数が多いから減らせというのは、どういう理由ですか? ということになります。これは、われわれもずいぶん議論しました。もう理論的な根拠はありません。財政削減は、別な方法がたくさんあります。けれども、身を切るシンボルとして議席を減らし、定数を減らすと言っていい、今の段階で理論的根拠のないとしても、これに対して答申として全く要求に応じないゼロ回答ができるのかという疑問が残りました。もしそうすれば、諮問をした議長、議運(議員運営委員会)とケンカをすることになるわけです。


●小選挙...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾