●天気予報、地震予測にみる予測の構造
2018年の政治の展望ということでお話をしますが、この話をする前に「予測」ということについてお話をしておいた方がいいと思います。
予測、予報、予想とはどういう構造なのか。特に最近は天気予報がかなり当たります。それに比べたら、「地震はなぜ予測できないのか?」という疑問が多くの方にあると思います。例えば、70パーセント以上の確率で地震が起こると言われていても、「いつ起こるか」ということははっきりとは言われていません。そういう意味でいえば、大規模地震は起こるのだけれども、いつ、どこで、どんな形で起こるのかということは分からないのです。それに比べれば、天気予報に関しては「明日の午後、局地的に東京のこの辺りに雨が降りますよ」というようにかなり正確に予報できるようになっています。
●政治世界の予測は地震型-特に戦争の予測は難しい
これを政治の世界、あるいは経済の世界に当てはめると、こういうことになります。戦争はどういう仕組みで起きるのか、革命はどういう仕組みで起きるのか、あるいは選挙ではどの党が勝ちそうか。こういったことの予想はできるのですが、特に戦争については、いつ、どこで、どんな規模で起きるのかは、なかなか予想できません。そういう意味でいうと、地震と非常に似ているところがあります。
明日の株価、明日の為替レート、これもなかなか予想はできません。けれども、経済学者による「為替レートはこういう条件で決まる」という説明は相当程度できるわけです。しかし、具体的な株価まではなかなか予想できません。これは先述した天気と地震、あるいは戦争の予測との違いと非常に似ているところがあります。
特に大きな問題である北朝鮮問題ですが、2018年はどうなるのか、紛争もしくは戦争が起こるという状況になるのか。こうした疑問を抱いたり、あるいは予想したりしている人もいると思いますが、その場合、われわれは合理的な人間を前提として核抑止体制などを構想し、「合理的な人間だったら、こういう行動を取るだろう」と考えるわけです。ところが、金正恩氏にしてもドナルド・トランプ氏にしても、合理的な人間という前提からすると、そこはやや怪しい。彼らは今までの政治家と比べて、少し違うのではないか、つまり不確実性の高い政治家ということです。よって、今後については予想...