小選挙区制度の是非
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
健全な競争条件と長期の人材育成が今後の課題
小選挙区制度の是非
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
小選挙区比例代表並立制が導入されて、まもなく20年になる。民主党政権の誕生と挫折から、自民党の一強多弱体制へ。「政権交代」に希望はあるのか。政治学者・曽根泰教氏に小選挙区制度の是非を問う。
時間:8分41秒
収録日:2015年3月10日
追加日:2015年4月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●政権選択は国民に委ねられた


── 曽根先生、日本の政治構造を長らく研究されてきたお立場からご覧になって、今の小選挙区制度は、結局のところ、変えてよかったのかどうだったのか、先生の評価はいかがでしょうか。

曽根 それは、政権交代を組み込んだ競争システムにするのか、しないのかの違いです。以前の仕組みは「自民党政権が永遠に続く」、これを前提にできているから、自民党の党内競争が実質競争だったのです。

── なるほど、連合政権のようなものですね。

曽根 そうです。自民党政権が続くことを前提にできているから、自民党の5派閥が競争することが実質競争だったのです。ですから、総裁選イコール首相選挙だったのです。

 役所も、それを前提に仕組みが出来上がっています。法案を通すときには、まず部会から説得していかなければならない、という制度です。前提となる競争条件は、「もう自民党政権は変わりませんよ」ということです。

 では、小選挙区を中心とする制度にしたのは何なのか。これは、「政権選択を国民に委ねますよ」という制度にしたのです。この制度は、政権選択、政権交代があり得る制度なのです。

 ただ、その「政権交代があり得る」ところについて、日本はまだ学習過程にあります。政権交代というのは、3年に一度がいいのか、10年に一度がいいのか、何年に一度が適切なのか、そこがまだなかなか見えていません。

 また、国民の方も使い方がまだよく分かっていなません。2005年、2009年、2012年と、その都度、変えてしまったというようなことがあったりするわけです。

 しかし、ならば自民党の長期政権安定の下で5派閥の競争イコール日本の実質競争という姿が本当にいいのですか? と言われると、これはやはり問題です。

 例えば、中国共産党がそうです。中国共産党は永遠です、という前提で、党内の政治委員の競争が実質競争である状態です。その中で2020年までに誰を育てますか、というような党内競争をもって実質競争とする状態です。これを競争と言いますか? という問題になってしまうのです。


●それでも政権交代をしていくべき


曽根 日本は、選挙制度は競争的でした。自民党の長期政権時代も競争的ではありました。けれども、これはある種の歴史的な経路依存で、自民党に一極集中してしまった。そして崩れないものができて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博