新型コロナウイルスと経済問題
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
厄介なのは将来予測から生じる負のスパイラルという問題
新型コロナウイルスと経済問題(2)長期的な影響への対処
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
新型コロナウイルスの影響により所得が減って総需要が低下してしまうと、負のスパイラルに陥ってしまう。こうした経済不況の長期化を防ぐためには、緊急融資や所得補償などの経済政策を行うと同時に、疫学的データを踏まえた判断が求められる。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分27秒
収録日:2020年3月12日
追加日:2020年3月29日
≪全文≫

●需要サイドも不況の要因となる


柳川 ここまでは連鎖倒産という企業と金融機関の話でしたが、もう少しショックが大きくなるのは、これが需要サイドに跳ね返っていくケースです。働いている人たちがいるので、一時的なレイオフなどでこの人たちの所得が大きく減ってしまうと、生活が苦しくなり、物が買えなくなってしまいます。

 みんなが物を買うことで、経済全体の総需要が増えます。供給サイドで生産できるようになり、物を動かせるようになったとしても、お金に困ってしまい物が買えなくなってしまう人が増えると、物が売れずに結局、不況になってしまいます。これも問題です。そのため、働いている人たちの賃金をどれだけ大きく減らさないかという課題があります。


●厄介な課題は、将来の予測によって負のスパイラルが起きてしまうこと


柳川 それからもう一つ、やや厄介な課題としては、将来の予測によるものがあります。現在の所得が減らなかったとしても、消費や投資は将来の予測に依存するので、将来もっと大変なことが起きるのではないかという予測、例えば今の賃金が得られなくなってしまうのではないかという予想がなされると、消費は一気に減ります。このような不安感が増大すると、需要が大きく減ってしまいます。

 これにより、物がますます売れなくなり、そうなると従業員にお金が払えなくなる。それによって、従業員は消費をますます減らすことになる。こうした需要と供給の悪循環が広がってしまうと、更に問題が悪化します。負のスパイラルが起きてしまうと、手がつけられなくなってしまうのです。

 そうならないためには、大きく需要が落ち込まないように、所得が減りそうなところに一時的なサポートを行うことが求められます。今のところ、短期的に大きなダメージを受けているのは、どちらかといえば非正規の人やフリーランスの人です。特に観光業やイベント業界ではこうした勤務形態の人が多いので、この人たちが所得を減らさないように、あるいは経済的に困窮しないようにすることが大事です。もちろんそれは大きく需要を落ち込ませないためにも重要ですが、こうした人たちが大きな貧困に陥らないようにして、社会的な問題にならないように対処していく必要があります。

―― 2020年3月上旬の時点で、日本でも無利子での緊急融資が始まっています。あるいはアジアの国々でも、実際に所得補...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(7)ポグロムとホロコースト
歴史の中のユダヤ人大量虐殺…ポグロムとホロコーストの違い
鶴見太郎
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(2)“変わり者”の生かし方と後継者選び
「人材の組み合わせ」こそ「尖った才能」を輝かせる必勝法
水野道訓
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(2)ABC分析
「ABC分析」という手法から仮説・実験・検証を行う
島宗理
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(2)真面目な日本人と二宮尊徳の思想
「頑張りすぎる人がうつになる」と言われるのは日本だけ!?
與那覇潤