新型コロナウイルスと経済問題
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
経済危機への対応として有効な「総需要拡大政策」とは
新型コロナウイルスと経済問題(3)負の連鎖を止めるため
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
新型コロナウイルスがもたらす経済不況の大きな要因は、借り入れの不良債権化や総需要の落ち込みである。これを防ぐためには、政府による抜本的な経済政策と国際協調が求められる。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分11秒
収録日:2020年3月12日
追加日:2020年3月29日
≪全文≫

●疫学的データと経済的データのバランス


――そうした意味では、非常に複合的な視点が必要だということですね。病気のことばかりを考えてもいけないし、経済のことばかり心配していてもいけない。先生がおっしゃったように、データに基づいたバランスのある見方をして、対処していかなければならないということですね。

柳川 そうです。ですから第1に、できるだけ科学的なデータに基づいて、判断をする必要があるでしょう。当然、感染がどう広がるのか、どこまで人の移動や行動を制限すれば、どこまで感染を防げるのかということについても、専門家の方々がご苦労されて、データを集めています。それは100パーセント分かるわけではありませんが、できるだけ把握することが試みられています。経済的なインパクトのほうも、どのような経済的な制限をした際に、どのような経済全体への影響がもたらされるのかを、科学的にデータを使いながら考えていかなければなりません。

 そこで、経済学者として貢献していかなければいけないと思っているのですが、第2として、同じように経済活動を制限したときにも、そこから負の連鎖が起きてしまい、供給側や需要側に悪い影響を及ぼしてしまう場合と、多少はそうしたインパクトがあるにせよ、できるだけ負の連鎖が起きずに済む場合とがあるということです。これは、新型コロナウイルス問題の対策とは別に、経済対策・経済政策としてできることがあるはずです。そこをできるだけ、うまくやっていくことが求められます。

 もちろん、対策といっても万能薬ではないので、副作用もあり得ます。例えば緊急融資自体は、本当に困っている人に必要な金額を配れれば良いのですが、そうならず、だれにでも配るということになってしまうと財政的に苦しい状態を導きかねません。場合によっては、そのためのお金が余りすぎてしまい、無駄に使われてしまうこともあるでしょう。本当に必要でない人にお金が配られてしまうという状況もあり得ます。この点は工夫をして、起きてくる経済的な副作用をできるだけ防ぎながらうまく負の連鎖を防ぐことが、これからの課題です。


●負の連鎖をどうやって止めるかが重要となる


―― 今おっしゃった経済的な課題としては、負の部分をどのように止めるかという部分の他に、うまい形で今回のウイルスの危機がある程度終息した際に、そこからどうやって経済を上向...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
平和の追求~哲学者たちの構想(2)世界市民と国家連合
「コスモポリタニズム」の理想と「国家連合」というプラン
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ