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10分でわかる「新エクササイズ理論」

1分チャージ! 新・エクササイズ理論

堀江重郎
順天堂大学医学部・大学院医学研究科 教授
情報・テキスト
血圧が高い人はずっと薬を飲み続けなければいけない。運動は健康のために、週2回程度筋トレをすると良い。食後、お腹が落ち着いてきたら運動するのが効果的。こうした従来の常識は全て間違っている!? 順天堂大学大学院医学研究科教授・堀江重郎氏による、知らないと損をする新・エクササイズ理論。
時間:09:46
収録日:2015/02/18
追加日:2015/05/28
≪全文≫

●新たに検証されつつある運動の効果


 皆さん、こんにちは。順天堂大学の堀江重郎と申します。今日は、新しいエクササイズのお話、エクササイズ理論についてご紹介をしたいと思います。

 ジムあるいはランニングその他で、定期的に運動されている方が結構多いのではないかと思います。運動の効用、これは言うまでもなく、運動する方は長生きであると言われています。ですが、実はそれ以外にも、医学的な運動の効果が検証されてきています。

 例えば、運動の顕著な効果としましては、脳の神経細胞を新しくつくるということが示されています。脳の一つの領域である、記憶に関係する「海馬」の中の神経が、運動することによって再生しやすくなる。従来は、脳の神経は、一度出来ると二度と再生しないと言われていましたが、実はそうでもなくて、新しく出来てくるということが分かっています。


●運動で改善、予防が期待できる症状あれこれ


 また、運動することによって、特に狭心症や心筋梗塞、あるいは、脳梗塞を防ぐなど、血管の健康を保つということが分かってきています。加えて、運動することによって肥満を改善できる、あるいは、糖尿病の予防の効果もありますし、さらに筋肉が増すことによって糖尿病になりにくくなり、摂取したカロリーをより効果的に使うことができるということが言われています。

 同じような理由で、コレステロールが高い方、あるいは、血圧が高い方にも運動は効果的です。よく高血圧と診断されますと、「一生このお薬を飲まなければいけないんでしょうか?」と心配されるというようなお話があります。先生によっては、一度高血圧になると、長期間お薬を飲んでくださいという方が多いのですが、実はそれは誤りで、体重が減れば確実に血圧も下がります。このように、運動することで高血圧を改善する、あるいは、高いコレステロールの値を改善するということも証明されています。

 そして、最近分かってきて非常に重要なこととしては、運動することによってうつを予防できるということが挙げられます。この大きな理由の一つとしては、いわゆる男性ホルモンと呼ばれるテストステロンにあります。このホルモンは、実はうつに対して抵抗する力、あるいは、うつを起こすようなストレスに対して抵抗する力があるのですが、運動することによってこの男性ホルモンが高まるということが知られています。

 しかし、それだけではなくて、脳の中で出るBDNFという神経を栄養する(神経に栄養を送り届ける)因子が高まることによって、うつを予防できる、あるいは、現在うつの方も症状が軽くなってお薬がいらなくなるということも証明されています。


●実行、継続が難しい従来型の運動


 このようなことから、運動することは大変大事だと思うのですが、多くの場合、推奨される運動の必要量があります。例えば、50歳の方なら恐らく1週間の間に75分、例えばランニングのような少し激しい運動をしてください、あるいは、週2回筋トレをしてください、というように言われると思います。もしくは、75分ではなくて、もう少し強度が穏やかな運動という意味では、ウォーキングであれば2時間ぐらいしてください。そういったものが、現在国際的に推奨されてきた、いわゆる運動の必要量というものです。これは食べ物の栄養摂取量と似ていますけれども、これだけの運動をしてください、ということが言われてきたと思います。

 しかし、実際お忙しい方が週75分間ランニングするということは非常に難しいですし、また、それだけで疲れてしまいます。あるいは、筋トレを週2回するというのも、結構時間をとると思います。


●たった1分で効果を上げる新運動理論


 実は最近、非常に驚くべき研究結果が出てきまして、いわゆる以前から言われるような30分ぐらいのジョギングなどと比べて、たった1分間で非常に高い効果が出る運動、あるいは、運動理論が報告されているのです。

 これは、1分間ウォームアップをした後に、例えば自転車であれば、自分の持っているほぼマキシマムの力で自転車をこぐということです。これは非常に簡単なことなのですが、1分間一生懸命こぐ、その後1分間少し遅いスピードでこいで、これで運動終わりというものです。これを週2回することで、実は、ジョギングを30分週2回するのと同じぐらいの効果があるということが分かってきました。

 これは、最大酸素摂取量という考え方によるものなのですが、自分が持っている力の最大に近い力で運動するということで、心拍量が上がります。その心拍量が上がる時間は、必ずしも長時間でなくてもよいのであって、むしろピークの時間をつくった方がよい、というような運動理論が最近提唱されています。

 もちろん、既に心臓に持病がある方とか、...
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