うつ病治療最前線
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うつ病治療最前線(1)うつ病の身体症状と治療の実際
渡部芳德(介護老人保健施設ひもろぎの園 創設者)
「心の風邪」とも呼ばれる「うつ病」は、いつだれがかかってもおかしくない病気である。しかし、その実態を正確に知っている人は多くない。典型的な症状は? 薬物療法は効果があるのか? 休職して治療すれば、また戻れるようになるのだろうか。東京都内と福島県白河市で心のクリニックを開設するひもろぎGROUP理事長・東邦大学薬学部客員教授の渡部芳德氏にうつ病治療の実際を聞いてみた。(全4話中第1話目)
時間:9分19秒
収録日:2015年9月3日
追加日:2015年10月15日
≪全文≫

●働く人の5パーセント、100万人が気分障害の患者


 ひもろぎ心のクリニックの渡部と申します。よろしくお願いします。

 本日は、うつ病についてのお話をさせていただきます。特にうつ病には、体の症状が非常に特徴的に出てきますので、「うつ病の身体症状」という話をさせていただきます。

 まず気分障害(うつ病や躁うつ病)の患者さんは最近非常に増えてきまして、保険のレセプトにおける病名では、大体100万人ぐらいいるといわれています。

 これをご覧になっている方々は企業の方が多いと思いますが、企業の中ではどのぐらい治療をしている人がいるかというと、大体大ざっぱに言って5パーセントぐらいいるだろう、ということです。私もいろいろな企業に訪問してお仕事をさせていただきましたが、大体100人居れば5人ぐらいが通院しています。休職している人はこれより少ないのですが、雇用主が知らないでお薬を飲んでいる人も併せると、大体5パーセントぐらいいるのではないかと考えています。


●年間3万人を超える自殺と、企業の損失


 近年はこの数が非常に増えてきて、平成9年から20年の間に患者さんは倍以上に増えてきているといわれています。

 それに合わせて日本では、精神科の患者さんの自殺が非常に増えてきています。平成7年ぐらいから少し増え始めて、特に平成10年ぐらいにかけて倍以上に増えています。その後、皆さんご存じのように3万人を超えるような状態が、ここ10年以上続いているのが、自殺者の現状です。

 特に企業の中で突然自殺する方が居ると、働いていた戦力が突然失われるということになります。精神疾患で企業の職場から離れていくということは、大変な損失です。例えば、システムエンジニアの人であれば、一人養成するのに数千万円掛かります。一人欠けるだけで、そのような人材を育てるためには大変なお金が掛かるといわれています。

 しかし、自殺者は3万人ぐらいに増えているというのが、今の現状だということです。


●身体症状を訴えるうつ病患者を実際に精密検査すると身体はどこも悪くない


 では、実際にどんな症状が出ればうつ病なのか、とよく聞かれます。「気分が落ち込んでいる」とか「やる気がない」という前に、体の症状を訴える場合が非常に多い。

 頭痛、胃が痛い、下痢が続く、食欲がない、あるいは体重が減っている、...

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