うつ病対策と経営リスク
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
うつ病の患者に認知行動療法が多く取り入れられている
うつ病対策と経営リスク(3)認知行動療法の効果
渡部芳德(介護老人保健施設ひもろぎの園 創設者)
ひもろぎGROUP理事長・東邦大学薬学部客員教授の渡部芳德氏のリワークプログラムで行われている治療法に「認知行動療法」がある。自身の考え方を客観視させ、思考の偏りから生まれる小さなつまずきに気付かせるのが狙いの治療法だ。渡部氏は、従業員のストレスチェックこそ、今後の人材育成に生かすべきものだという。(2015年10月15日開催 日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「企業でのうつ病休職者の社会復帰(リワークプログラムの実情)~ストレスチェック制度を有効活用した人材育成と企業経営~」より、全5話中3話目)
時間:7分17秒
収録日:2015年10月15日
追加日:2016年1月25日
≪全文≫

●患者の思考の「偏り」をほぐす認知行動療法


 話は変わって、今度は認知行動療法とはどんな治療をしているかをお話しします。うちでは、リラクゼーションしたり食事を立て直したりすることと並行して、認知行動療法という治療法を行っています。

 うつ病の患者さんの多くは、実は考え方の偏りが非常に多いです。そこで復職に向けて、その偏りを安定させるために、認知行動療法が多く取り入れられています。認知行動療法は、薬物療法を併用することで効果が非常に高くなります。

 (来院者は)ネガティブな思考や思い込み、決め付け、完璧主義が必要以上に多く含まれており、日常生活に支障を来しています。経営者の中には、こんな人はほとんどいないですね。経営者で(精神疾患に)なったという話は、外来ではほとんど聞いたことがありません。

 さて、リワーク(プログラム)では、さまざまな年齢や職種、異なる性別の人が10人から12人ぐらいで集まって、お互いの考え方をいろいろ聞きながら疑似職場で訓練するということをやっています。ここの卒業生は600人ほどおり、その8割は復職しています。そういう仕組みを8年ほど行っています。

それから、卒業した後も土曜日にフォローアップしています。会社で嫌なことがあったら、そこに戻ってメンバーと話したり、職員と話したりすることで、再発を予防しているということです。こういう認知行動療法を、大体12回を1セットにしています。宿題もあります。


●行動を振り返り、考え方の「くせ」を見つける


 具体的な例を見ましょう。Hさんです。37歳でIT技術者、すごくIQが高くて頭が良い方です。(うつ病になった)経緯は、異動後、業務への不適応で対人関係の悪化により休職したということでした。来院した時、職場に対する怒りが大きく、とにかく職場が悪い、とおっしゃっていました。自分自身に目が向いていない人が多いのです。

 そこでこの人に認知行動療法を施しました。具体的には、ストレスの場面やそのときの状況を挙げて、ご自身の考え方が極端になっていないか確かめてみましょうという形で、認知行動療法は始まります。状況としては通勤訓練中に、同期と上司にすれ違ったのですが、相手から挨拶がなかった。その時の考えは、自分は相手に「認められていない」と思ってしまったということでした。

 この考え方にどんなくせ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(4)トランプ大統領VS.中国
トランプ政権は実は与しやすい?…ディールで「時間稼ぎ」
垂秀夫