●「ひもろぎGROUP」はどんな経営を行ってきたか
後半は、経営者のメンタルヘルスについてです。経営者のメンタルヘルスについてお話する前に、私はどんな経営者かということを少し見てもらいましょう。
私がやっているのは「ひもろぎGROUP」という医療機関ですが、なぜこんな名前なのか。それは、ご神木から漏れてくる、「日の漏るる垣」から「ひもろぎ」という名前を作りました。ひもろぎGROUPは、1965年に福島県の白河で開業した精神病院が始まりでした。
そこから35年間、ずっと古い精神病院をやっていたのですが、2000年に介護施設、2002年に東京にクリニックをつくり、2004年に病棟を閉じて、2005年に社会福祉法人化、そして東京のクリニック拡張ということで、次々やってきています。「アン‐サポ」をつくったのは、2013年です。そして今度、私たちは来年の6月にクリニックを移転させよう考えています。
こんな形で、時代に合わせて次々と改革を行ってきたのが、精神科医ではなく経営者としての私の一面です。
●これからの高齢化時代に求められる病院経営
私もよく読むピーター・ドラッカーの本の中にもある通り、大事なのは見えざる改革が起きていることで、高齢化からはもはや逃れられないのです。人口構成の変化によって誕生した年金社会は、新しい問題を生み、新しい政策を要求します。高齢化は進んでいますよ。
このままでいくと、地方はどんどん駄目になります。原発事故で一番問題になったのが、人材流出です。福島県から人がいなくなるということが一番の問題で、若い人がどんどん出てしまうということです。そうすると、田舎の不動産の価値はなくなってしまいますよね。高齢化というのは、すごく大きな問題です。
それで、今から10何年前に老健(介護老人保健施設)をつくって運営しているのですが、お年寄りもだんだんとピークが過ぎてくると減ってくる。すると今度は介護施設がたくさんできているため、施設の患者さん、利用者の取り合いが起こっているわけです。都内ではまだそんなことは起こっていないですが、地方ではだんだんそんなことが起こっているということです。
これではまずいだろうということで、われわれは人材を確保するために、東京にクリニックをつくったのです。それは、医局制度(ほとんどの医者が大学病院...