メンタルヘルスの現在地とこれから
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ワークライフバランスがストレス!?…仕事と家庭の両立は
メンタルヘルスの現在地とこれから(3)世代論とワークライフバランス
斎藤環(精神科医/筑波大学名誉教授)
「日本の若者は世界で最も自己肯定感が低い」といわれているが、それはなぜか。バブル世代とバブル崩壊後に就職した就職氷河期世代の違いは、彼らが思春期・青年期を過ごした当時の社会が上向きなのか、凋落しているのかといったこととも関係している。さらに近年はワークライフバランスが叫ばれるなど、新たな社会圧がかかっていることもメンタルに影響しているのではないだろうか。今回は世代ごとのメンタルの違いと、育休制度なども進み始め、過渡期ともいえる現在の社会環境について解説する。(全6話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分06秒
収録日:2024年4月17日
追加日:2024年6月29日
≪全文≫

●バブル世代の楽観主義、就職氷河期世代の悲観主義


―― 前回は図らずも、昭和的な価値観、平成的な価値観、令和的な価値観ということで、世代論を話してしまいましたが、そうした世代論は、(メンタルの違いにも)やはり当てはまるものなのでしょうか。

斎藤 ある程度、当てはまると思います。私もそうですが、昭和生まれ、バブル期経験者というのは、非常に漠然とですが、思春期・青年期に社会が上向きに変化していくさまを見ています。その時に刷り込まれた印象があまりにも強力なので、今でも「社会は、放っておけばうまくいく、うまく回っていくもの」という楽観的な人が多い気がします。この楽観主義は、就職氷河期世代以降の若者には全く共有されていません。

 彼らは、まさに思春期・青年期を通じて社会が凋落していくさまを見てきているので、放っておけば社会がよくなっていくとは、到底思えない。楽観できないのです。自分が年金をもらえるかどうかも分からないし、とにかく社会は悪いほうに向かう。自分の人生も、放っておけばどんどん落ちていくという印象が強くて、非常に悲観主義的なところがあると思います。

 ですから、このギャップを意識して話さないと、全然分かってもらえていない感じ、共感できないという印象を持たれてしまう可能性が高いと思います。

―― 今いわれた「(経済的に)落ちていっている感じ」については、日本はそうですが、例えば中国が非常に伸びた時期もあれば、貧富の差が大きいという議論はあるものの、アメリカもずっと一貫して伸びてきている。そうすると、世界的に見た場合、日本の若者は悲観的かもしれないが、例えば海外で採用した人たちは非常に上昇志向で、「まだ、これからガンガン行けるぞ」というところがあるかもしれない。それを、いろいろな環境や社会の雰囲気を見て、判断していかなければいけないということですね。

斎藤 そうですね。いろいろな統計が示しているところですが、日本の若者は世界で最も自己肯定感が低いというのは、ずいぶん前からいわれていることです。これは、今申し上げた「社会の展望に楽観主義的になれない」ということが結びついていると思います。

 (一方、)今おっしゃった中国やアメリカ、(あるいは)私がかつていた大学の大学院にも中国人が半分ぐらいいましたが、みんな希望を持って頑張れるので、この違いは非常に大きい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎