メンタルヘルスの現在地とこれから
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
フィンランドで始まったオープンダイアローグの活用法とは
メンタルヘルスの現在地とこれから(6)職場で生かすオープンダイアローグ
斎藤環(精神科医/筑波大学名誉教授)
フィンランドの西ラップランドで始まったオープンダイアローグは、近年、日本でも注目される精神医学上の手法である。統合失調症に対する治療的介入の手法として始まり、大きな成果を上げている。行われるのは普通の対話だが、対話によってつくられるポリフォニーが重要で、そこから主体性が芽生えてくるという回復過程がこの手法のメリットだという。職場で実践するためには具体的にはどうすればいいのか。その方法を解説する。(全6話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:5分53秒
収録日:2024年4月17日
追加日:2024年7月20日
≪全文≫

●フィンランドで始まった新しい方法


―― 最後に、これは一般のレベルで行うというよりは、おそらく治療現場での話になると思うのですが、一つの参考事例として、先生がおっしゃっている「オープンダイアローグ」のお話を(うかがいたいと思います)。今、どういうような形で、治療や復帰への道が変わってきているかというところで、ぜひご紹介いただければと思います。オープンダイアローグというのは具体的にはどういう手法になるのでしょうか。

斎藤 これは、フィンランドの西ラップランドというところで始まった方法です。もともとは統合失調症という幻聴や妄想の生じる疾患の急性期、一番症状が激しいときに、対話によってアプローチをして回復を促すという方法です。これが非常に有効で、今までは薬と入院しか治療法のなかった疾患が、対話するだけで回復してしまうということが分かってきたので、全世界に非常にショックを与えました。この手法を日本でも広げていこうということで、今、私は活動しています。

 ここで行うのは、本当に普通の対話です。ただ、細かい話をすると、その人の主観を掘り下げるということをするわけです。さらに言うと、対話というのは「主観と主観の交換」としてとらえますので、相手が主観的に話してくれたら、こちらも主観的に話すことで、お互いの主観を共有し合うということをします。

 そのときに、意見が違っていたり、価値観が違っているのは全然構わない。「polyphony(ポリフォニー)」といいますが、そういういろいろな意見を共有する状態のポリフォニーが出てくると、そこには隙間がある。その隙間において、クライアントさんが自分の主体性を見つけていくといわれています。

 ですから、対話によってポリフォニーを作っていき、そのポリフォニーの中で本人の主体性が芽生えてくるという回復過程であるといわれています。それが、この手法の大きなメリットと考えられています。


●本人を含めたチームによるオープンな対話


斎藤 具体的には、2、3人の治療チームで行って、それで、クライアントと家族のチームで、(つまり)チーム対チームで話し合うようにするという手法です。これをそのまま企業で実践するのは難しいでしょうから、使えるものだけ使うことを考えると、いくつかエッセンスとして有効なものがあると思います。

 具体的には、まず一つに「本人がい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦