うつ病治療最前線
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
心の病の原因の第一位は「職場の人間関係」
うつ病治療最前線(2)社会復帰へのリワークプログラム
健康と医療
渡部芳德(介護老人保健施設ひもろぎの園 創設者)
うつ病治療で大切なのは、会社や学業を休んで心身の休養につとめることだ。会社の状況が気にかかり、復帰できるのかどうかを気に病んでいては、症状は悪化する一方だといわれる。うつ病休職者をスムーズに社会復帰させる「リワークプログラム」は、ひもろぎGROUP理事長・東邦大学薬学部客員教授の渡部芳德氏の治療の中でも大きな位置を占めている(全4話中第2話目)。
時間:9分17秒
収録日:2015年9月3日
追加日:2015年10月29日
≪全文≫

●心の病になる原因の一番目は「職場の人間関係」


 ひもろぎ心のクリニックの渡部と申します。よろしくお願いします。今回は休職者の社会復帰への取り組みというお話をさせていただきます。

 企業の中では、気分障害(うつ病、双極性障害)で会社を休職する方が、最近非常に多くなってきたと思われます。われわれのクリニックでは、休職者の社会復帰プログラムを行っています。

 実際に休職する方の心の病の原因は、一番目が「職場の人間関係」で73.7パーセントぐらいあります。

 二番目に「本人の資質の問題」があり、三番目は「業務遂行に伴うトラブルや困難」です。仕事がうまくいかないとか結果が出ないというトラブルが三番目にきます。

 それから、四番目は「家族の問題」。家族が病気をなさったなど、家族に起因する問題です。五番目が「重すぎる仕事の責任」。職務が非常に重いために仕事ができなくなるというのが18パーセントぐらいです。それから「社会環境の変化」「長時間労働」「本人の生育歴」「昇進や配置転換」、さらに「職場のパワハラ」と続きます。

 このように全部で10項目ほど挙げていますが、順番でいくとやはり一番が「職場の人間関係」。これがうつになる一番最初の原因で、会社を休むということです。


●社会復帰を応援する「リワークプログラム」の開設


 われわれは休職者の復帰プログラムを行っていますが、なぜこのプログラムを開設したかを説明していきます。

 前回お話ししたように、クリニックの外来では、ここ10年間の間に倍増するほど気分障害の患者さんが非常に多くなりました。

 その中で私たちは最初、薬物療法を行いますが、薬だけでは職場復帰のできない患者さんが非常に増えてきました。もう一つ。気分障害の中にはうつ病や双極性障害があるのですが、ただ単にうつ病だけではなく、気分障害には多様性があるということに気がつき始めました。そういったことから、外来の治療だけでは難しいということになったのです。

 さらにもう一つ。われわれの患者さんは非常に多いですから、診療場面はたったの3分から5分ぐらいです。それだけでは、「患者背景」は見えてきません。患者背景とは、患者さんが今どういう状態で家にいるのか、あるいは仕事場でどんな状況にあるのかといったことです。

 そのため、精神科医一人では十分にお話はうか...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン(1)mRNAとは何か
コロナだけでなく個別化医療の可能性を秘めたmRNAワクチン
内田智士
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期
なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る
長谷川眞理子
新しいアンチエイジングへの挑戦(1)患者と伴走する医者の存在
だべったら生存期間が倍に…ストレスマネジメントの重要性
堀江重郎
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮