うつ病治療最前線
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
うつの「見える化」に有効な光トポグラフィー検査とは
うつ病治療最前線(4)目に見える精神医療
渡部芳德(介護老人保健施設ひもろぎの園 創設者)
ひもろぎGROUP理事長・東邦大学薬学部客員教授の渡部芳德氏は、「見えない」難しさを持つ精神医療にいち早く光トポグラフィーの機械を導入、検査を実施してきた。「見えない」ものを「見える」ようにした効果は絶大! 精神医療の現場を技術革新と視覚化の観点で語る。(シリーズ全4話中最終話)
時間:9分19秒
収録日:2015年9月3日
追加日:2015年11月26日
≪全文≫

●「見えない」という精神医療の難しさ

 
 ひもろぎ心のクリニックの渡部と申します。よろしくお願いします。

 次は、目に見える精神医療ということで、精神科外来における近赤外線スペクトロスコピーというお話をします。

 私は医者になって27年ですが、われわれ精神科というのは、言葉だけを話していて何も機械がいらないのではないかと、最初はそのように思われていました。そのような中、気分障害の患者さんがどんどん増えて、ここ10年で倍増していると言います。

 精神科というのは、非常にあいまいで分かりづらいと、僕自身も精神科になった時に思っていました。精神疾患とは概念しかなく、目に見えないと考えられています。例えば、うつ病や躁うつ病、統合失調症やパニック障害がありますが、その違いを患者さんに明確に説明するのは非常に難しいですし、また同時に、ご家族にもその疾患を説明しても、ほとんど理解していただけないというのが現状ではないかなと思います。僕が精神科医になってその病気を説明するときにも、こちらは教科書を読んでいますから、「こういう症状とこれとこれがあるからあなたは病気です」と言っても、患者さんはポカンとして病識がないわけです。


●病態が目に見える身体科


 一方、体の疾患というのは、がんにしても心筋梗塞にしても、脳梗塞、肺炎にしても病態が目に見えます。例えば、がんならばCTのスキャンを撮ってみて、そこに異常な影があれば「これはがんかもしれない」ということになります。心筋梗塞であれば、心電図を撮る、あるいはエコーを撮る、シンチ(シンチグラフィー)をするということで見えるわけです。脳梗塞の場合もCTを撮れば分かりますし、感染症、肺炎であれば、胸のレントゲンを1枚撮ればすぐ分かるということで、病態が目に見えているから患者さんと一緒に治療に取り組みやすいというのが、身体科ということになると思います。

 実際ここにCTによる画像ケースがあります。上は1年前に撮ったある患者さんのCT画像ですが、影がありません。しかし、1年後の検査で、矢印に示すような直径2センチぐらいの肺がんと思われる所見が見つかりました。これはもう、目に見えて初めて分かって、こういう患者さんには、「じゃあ、治療しましょうね」となるということは、明らかです。


●精神科クリニックの10年前と今


 これは、わ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
男性医学とテストステロン(1)リーダーと男性ホルモン
チャレンジ精神、神経ニューロン、認知症にも影響!?
堀江重郎
「男性更年期」とは何か
うつやほてり…男性ホルモン・テストステロン減少のせい?
堀江重郎
最強の臓器「皮膚」のふしぎと最新医療(1)かゆみのサイエンス
「かゆみ」の正体を科学する!最新研究で迫る皮膚の仕組み
椛島健治
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治