培養肉研究の現在地と未来図
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ゲノム編集技術も培養肉へ展開可能!課題は社会受容性
培養肉研究の現在地と未来図(5)これからの培養肉研究と社会受容性の問題
竹内昌治(東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
技術がいくら進歩しても、それを人々が拒んで使わなければ、その技術は社会に普及しない。進展著しい培養肉研究を、人々はいったいどのように受け止めているのだろうか。大規模な調査によって、日本人の培養肉への抵抗の強さが見えてきた。これからの培養肉研究と社会受容性について考える。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分26秒
収録日:2022年10月11日
追加日:2023年2月7日
≪全文≫

●ビジネスと研究で異なる開発競争の現在


―― 今、培養肉というジャンルでも、それこそイギリスの3800万円のハンバーガーの話がありましたように、いろいろな開発が進んでいる中だと思うのですが、世界と比べたとき、先生の研究は開発競争における位置としてどういう状況なのですか。

竹内 研究レベルと、あるいはビジネスに向かって早く上市したいという事業化レベルでは、だいぶ目標にする培養肉が違うのではないかと思っています。

 今、いち早く上市しようと思っているのは、いかに大量に安く細胞を培養して、それを肉として成形して売るかということで、ゼリーの中に細胞を混ぜていかにお肉の味を出していくか、あるいはそれを3Dプリンターで大きくプリントしてお肉に見せていくか、その味をどう突きつめていくかということで、ミンチ肉とか、フェイクミートのあたりが今ビジネスの世界ではしのぎを削っているところだと思います。

 一方で研究者としては、もっと基礎の部分で、例えば僕らのように、動物の筋肉を切り出したのと同じくらいの形態や機能を持った3次元組織をいかに体外で作るかというようなことにトライしています。また、今までは細胞を培養するときにお皿の上で培養しているので、大量に培養するとなると、お皿が何万枚と必要になってくるというような状況だったのですが、それだとあまり効率が良くないだろうということで、ビール樽や醤油樽のような大きなタンクの中に細胞を混ぜて、ゴロゴロと溶液の中で増やしていこうとしています。

 そのときに、今までの培養液はコストが結構かかっていたのですが、いかにコストダウンさせるか。植物性由来の素材だけで培養液を作るにはどうしたらいいのか。あるいはその培養液をリサイクルするにはどうしたらいいか。そのような、いろいろな研究がされているという世界ではないかと思っています。

 日本では、実は僕らがやっているように、3次元の組織をどうやって作っていくかということで、再生医療や組織工学の分野でそれに関するいろいろな技術ができているのです。なので、僕らも含めて、3次元組織のお肉を作っていく上では一歩リードしているのではないかと思っています。


●培養中の安全をいかに証明するか


―― あと、これは消費者の目線で気になるところだと思うのですが、いわゆる安全性において危険な要素はあり得るものですか。

竹...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
宇宙に関するニュースを理解するために宇宙の姿を学ぶ
岡村定矩
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之

人気の講義ランキングTOP10
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(2)戦争省とチャーリー・カーク暗殺事件
チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響
東秀敏
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ