培養肉研究の現在地と未来図
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
3800万円の培養肉バーガー…技術革新で大幅コストダウン
培養肉研究の現在地と未来図(3)培養肉開発の方法
竹内昌治(東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
これから需要が本格化することが見込まれる培養肉。その生産技術はどのように発展してきているのだろうか。莫大なコストがかかった初期の試みから、本物の肉と同じ筋線維を作る最先端の取り組みまで、その具体的な方法を解説する。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分51秒
収録日:2022年10月11日
追加日:2023年1月24日
≪全文≫

●培養肉の作り方:増殖能のある細胞を筋肉から取り出す


―― 次に、実際に培養肉はどうやって作っていくものなのかという話をお伺いしたいと思います。

竹内 実は2013年にオランダのマーストリヒト大学のマーク・ポスト先生が世界で初めて培養肉バーガーというものを作ったのです。それをロンドンで試食をされたのですが、その時のやり方からまずご説明します。

 まず、動物の命を奪わないということを理想としていますが、細胞ソース自体は動物からいただかないといけない。ということで、「バイオプシー」という方法があるのですが、細い針を牛のお尻にブチッと刺します。

 針を抜きますと、その針の中に肉片がちょっとだけ入っています。それが、例えば数グラムくらいの肉片です。それをバイオ液に入れたら、その肉片がどんどん大きくなってくると思われる方も結構いらっしゃるのですが、そういうことは実はありません。

 筋肉の断片の中に、筋肉が切れたり炎症を起こしたりしたときに、その炎症を起こしてダメになった細胞に置き換わって筋肉になっていくような、筋肉の元となる細胞がいくつか存在しています。これが本当に数えるくらいしか、その数グラム中にはないのですが、それだけを取ってくるのです。

 その細胞をバイオ液に浸ける。そうすると、増殖能がありますから、たくさん増やすことができるのです。

―― 例えば、人間の身体なども食べ物を取り込んで、相当なスピードで書き換えというか、入れ替わりが進んでいるのだというお話をされる方もいますけど、実際、生き物というのはそういうものなのですか。

竹内 細胞が置き換わっている部分、代謝がすごく激しい部分と、そうでない部分というのがあるので一概にはいえないのですが、筋肉に関しては、筋肉に炎症が起こったときにピッとスイッチが入って、筋肉の細胞になって筋組織を作っていくというような「筋芽細胞」というものがあったりするのです。その細胞だけを取り出してくるのが、まずは1つのテクニックです。

 それをたくさん増やして、お肉としてハンバーガーのように整形していくわけです。それを食べましたということなのですが、その当時、2013年でコストはだいたい3800万円くらいかかりました。

―― 「万円」なのですね(笑)。

竹内 3800万円ですので、超高級なスポー...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
星はなぜ自ら輝くのか…宇宙と銀河の「現在の姿」を概観する
岡村定矩
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
科学的思考はなぜ大切か(1)「状態図」という概念
科学的思考とは「なぜ?」を追究していくこと
岡部徹

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠