マテリアル革命
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本では科学技術の3つの大事な領域が連動していない
マテリアル革命(2)科学技術政策推進への課題
岸輝雄(東京大学名誉教授)
東京大学名誉教授で新構造材料技術研究組合(ISMA) 理事長の岸輝雄氏が日本の科学技術とマテリアルの関係について解説する。日本の科学技術に非常に重要な役割を担っているマテリアルだが、岸氏は懸念を抱いている。それは、科学技術政策推進において各研究開発分野がうまく連携していないということである。(全5話中第2話)
時間:10分05秒
収録日:2017年11月30日
追加日:2018年4月1日
≪全文≫

●マテリアル、情報改革と日本の科学技術政策


 今日はこの5項目の話をさせていただきます。まず日本の科学技術についてなのですが、あまり難しいお話はここではやめておきます。

 科学技術の推進というと、やはりアトム(モノ、フィジカル)がどのように寄与するかということと、ビット(デジタル、サイバー)で表される情報が大きな役割を示す時代になってきたといえると思います。

 モノと情報をつなぐということで、IoTが大きな役割をしています。情報革命に対応してマテリアル革命が起きてくれることが、今期待されるという状況だと思います。

 このような二つの大きな流れの中に、環境やエネルギー、情報・通信いった領域が入ってきます。自動車を情報・通信の分野に入れても結構です。それからエレクトロニクスも非常に大きな領域です。このあたりの領域はダブってくるので入れ方が難しい。それとライフサイエンスの分野があると思います。これらを元にイノベーションということが今の日本の科学技術政策ですから、大きな方向であり、同時に宇宙・海洋開発・原子力・防災のビッグプロジェクトも進んでいます。今後大事になるのがSPring-8(兵庫県の大型放射光施設)、それからコンピューター、その先の量子コンピューター(これは大きな課題になると思います)で、こういったコアインフラがあります。


●科学技術推進三つの領域が連動していないという問題

 
 私が言いたいのは、この三つの大事な領域があるのですが、日本でこれがほとんどバラバラに行われているのが大きな課題だということです。総合科学技術会議はイノベーションの領域しか扱わないので、日本の科学技術政策における3分の1の予算が総合科学技術会議の扱いになっています。そこが非常に日本の科学技術政策の大きな課題です。

 そして、スライド内をご覧いただくと、大学、原子力のところに下線を引いていることにお気づきになったかと思います。科学技術会議政策において、日本の科学技術力が少し衰えたという指摘もあるのですが、まだ十分にその力は発揮していると思います。あえて問題をいうと、大学ランキングに示されているように、大学の活力が落ちているのではないかという点が一つ挙げられます。原因についてはいろいろな指摘があるかと思...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
航空機事故ゼロをめざして(1)フラッター現象とは何か
零戦の開発段階で起きたフラッター現象…事故の教訓とは
鈴木真二
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
内側から見たアメリカと日本(3)ビル・ゲイツの世界戦略
「50億人を救う」と宣言したゲイツとの粋なエピソード
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓