セルロースナノファイバーとは
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
先端材料としてのセルロースナノファイバーの応用分野は?
セルロースナノファイバーとは(6)CNFの特性
磯貝明(東京大学特別教授/東京大学名誉教授)
セルロースナノファイバーは、どのような特性を持っていて、どのように私たちの生活に役立つのであろうか。磯貝明氏が、セルロースナノファイバーが持っているさまざまな特性と、その応用例に関して、豊富な研究成果とともに紹介する。高強度の材料や、包装用のフィルム、フィルターとして用いることができるだけではなく、高分子との複合化によってさらなる用途を見いだすことができるポテンシャルも持っている。セルロースナノファイバーは、さまざまな分野に発展をもたらす、まさに夢の新素材なのである。(全7話中第6話)
時間:15分31秒
収録日:2019年11月8日
追加日:2020年1月8日
≪全文≫

●軽くて高強度なセルロースナノファイバー


 次に、TEMPO酸化セルロースナノファイバーの特性について紹介します。

 セルロースナノファイバーは、鉄の5分の1の比重で、強度は5倍といわれています。確かにこの強度マップを見ると、鉄よりも強いことが分かります。破断強度とは、引っ張った際にどの程度の強度でちぎれるかを示す指標であり、引張弾性率は、引っ張った際にどの程度の強度で変形するかを示した固さの指標です。

 セルロースナノファイバーの場合は分子を引っ張ることになるので、この程度の強度のポテンシャルがあることは確かです。ですので、適正にナノファイバーを用いることができれば、鉄よりも軽くて強い材料に変換できるのは事実です。ただし、そこにはいくつか超えなければならないハードルがあるので、ナノファイバーを用いれば、すぐにこうした材料が作れるというわけではありません。

 もう一つの特徴は低い熱膨張率です。高分子とは異なり、ナノファイバーは結晶の塊なので、加熱しても伸びることがありません。つまり、分子が数十本集まって、加熱してもそれはバラバラにはならないので、熱膨張率が低いのです。例えば、プリント基板などは、加熱しても断線しないように、ガラス繊維やガラスの粉のようなものであるシリカが用いられており、その分、重くなっています。それと同程度の熱安定性、寸法安定効果がセルロースナノファイバーにはあります。ポテンシャルとしては、うまく電子基板と組み合わせることができれば、軽くて安定な電子基板をつくることができます。


●包装用の容器やフィルターの材料として利用することができる


 もう一つ特徴的だったのは、ペットボトルに用いられる、ポリエチレンテレフタレート(PET)との関係です。PETは整形材料として頻繁に用いられますが、面白いことに酸素をスカスカと通します。酸素バリア性がないということです。しかし、酸素バリア性を求められるものは結構あります。例えば、食品や酸化されやすいお茶やコーヒーなどの飲料、お茶の葉やコーヒー豆、薬などが挙げられます。酸化して劣化することが多いので、酸化を防ぐために、酸素バリア性の高いパッケージングフィルムを用いることが重要になります。そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(3)リベラルアーツの伝統と教育
身につけるべきリベラルアーツとは?…欧米の伝統と変遷から探る
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
ウェルビーイングを高めるDE&I(6)エクイティ実現と特権性の理解:前編
改札、公衆トイレ、在宅勤務…構造的格差とエクイティの意味
青島未佳
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将