未来を拓く「知材」革命の底力
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エネルギー・資源・健康問題にみるマテリアルの可能性
未来を拓く「知材」革命の底力(4)マテリアルの社会解決
東京大学第28代総長で株式会社三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏、東京大学名誉教授で新構造材料技術研究組合(ISMA) 理事長の岸輝雄氏、株式会社三菱総合研究所研究理事の亀井信一氏による「マテリアル革命」に関する鼎談。三番目のテーマは、エネルギー、資源、健康分野におけるマテリアルによる社会解決ついてである。(2017年11月30日開催三菱総研フォーラム2017鼎談「マテリアル革命」より、全5話中第4話)
時間:13分20秒
収録日:2017年11月30日
追加日:2018年4月16日
≪全文≫

●世界最安値。ドバイの電気はなぜ安い?


亀井 資源循環(リサイクル)の話が出ましたが、ちょうど次に議論したかったのが「マテリアルがリードする社会解決はどこまで進むのか」ということです。ただ、これだけでは非常に漠としていますので、三つの点に分けます。一つ目はエネルギー、二つ目が資源、三つ目は健康問題の順で議論をさせてください。

 まずはエネルギーについて、岸先生からは先ほど私どもの研究にも何度か触れていただきました。エネルギーに関する研究はどこまで進むのかということを、マテリアルの今日に関する視点も含めて、小宮山理事長からお話し願えますか。

小宮山 日経新聞にも記事が出ていましたが、風力と太陽光のコストがすさまじく下がっています。アメリカでの風力と太陽光の電気は5セント(1kW時あたり)を割ったというのです。日本の原価と比べると半分弱まで下がっていることになりますが、世界を見渡すと砂漠の場合は大体3セントぐらいだといわれています。

 ところが、先日ドバイに行った時に実際に聞いてみると、1.8セントだというのです。これは日本と比べるとタダ同然の価格です。なぜ1.8セントにできたのかと尋ねると、太陽電池が両面同じ構造だからだというのです。普通は片面で光を受けるのですが、砂漠の表面は光を反射する(だから白いのです)ので、裏側からも光を受けるようにしたということです。

 われわれはずっと高効率の太陽電池を目指してガリウム砒素なども導入し、実効レベル30パーセントから40パーセントを目標としてきました。それも非常に重要なことではあるけれども、思わぬ工夫で倍の効率が確保されてしまったわけです。

 風力発電でも同じことがいえます。非常にシンプルだけれども軽くて強く、靭性にも優れた素材が出てくると、コストはあっという間に下がってしまいます。太陽電池や風力などのエネルギーは、マテリアルが引っ張るのであり、さらには裏表両面同じ構造のような単純な見直しが功を奏する場合もあります。

 先ほど、亀井さんが「シンクタンクは、その先の未来を考える」といわれました。エネルギーについては、今のコストと比べると実質的にタダ同然という地域が世界のあちらこちらに出てくる傾向は、この先確実になると私は思っています。


●材料に課題を残したまま走っているEV


亀井 ありがとうございます。岸先生、マテリ...

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