未来を拓く「知材」革命の底力
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
今後マテリアルが目指すべき方向性とは?
未来を拓く「知材」革命の底力(3)マテリアルへの期待
東京大学第28代総長で株式会社三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏、東京大学名誉教授で新構造材料技術研究組合(ISMA) 理事長の岸輝雄氏、株式会社三菱総合研究所研究理事の亀井信一氏による「マテリアル革命」に関する鼎談。二番目のテーマは、マテリアルに寄せられる期待についてだ。(2017年11月30日開催三菱総研フォーラム2017鼎談「マテリアル革命」より、全5話中第3話)
時間:5分41秒
収録日:2017年11月30日
追加日:2018年4月15日
≪全文≫

●「室温超電導」「人工光合成」、材料が開く未来は?


亀井 次はマテリアルへの期待についてです。マテリアルが本当に推進するときのカギとして、輸出のトップはずっと工業素材だったというお話が岸先生の講演の中にありました。GDPを見ても、製造業の付加価値が最も多いのはやはり素材(マテリアル)なのです。その点も含め、今後の方向性としてマテリアルの何に期待したらいいのかということに関して、特に追加のコメントがあればおうかがいしたいと思います。

岸 われわれはどうしても開発の方に目が向きますが、汎用的な材料をしっかりつくっていくことが非常に重要だと考えます。構造材料の基本はほとんどが鉄で、機能材料はシリコンです。この二つが二大材料だという認識のもとに、次の開発の方向性をよく考えないといけないと思います。

 ポイントは二つあります。一つは「何が出てくるか分からない」ということになりますが、これが材料の世界なのです。しかし、それが出てきたことが非常に大きな世の中の変革につながる部分もあるということです。

 それと同時に、もう一つは「課題解決の面から見て大事なモノ」があるということです。先ほどの講演でもスライドで示させていただきましたが、今われわれは本当に多岐にわたる取り組みを行っています。あえていうと、「常温の超伝導はできないか」「人工光合成はできないか」「脳の材料は新たにできないか」などを考えたりしています。

ともあれ、非常に多岐にわたることが原因で、どこにいくか分からなくなるのが材料分野だという言い方もできるかと思います。


●リサイクルを前提とした製品設計を


亀井 なるほど。どうもありがとうございました。

小宮山 岸先生のお話にも出てきたエネルギーやリサイクルの話は、マテリアルの問題であると同時に、社会全体の課題という側面があると思います。回収後、どう使うのかが問題ですから、設計の時点で商品のリサイクルを考えた設計をすることが極めて重要です。

 例えば、鉄の再利用を例にとると、今は循環していくとカッパー(銅)とスズ(錫)が溜まってくることが問題視されています。表面のメッキに使われるのがスズですが、ジンク(亜鉛)でメッキした製品は、たくさんあるのに問題になりません。リサイクルの工程上、鉄を溶かしますが、蒸気圧の高い亜鉛はその際に飛んでしまうのです。残って...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(1)木造建築の歴史と現在
伝統木造建築はいま都市で必要な建物ではない
腰原幹雄
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治