セルロースナノファイバーとは
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
セルロースには変換プロセスのブレイクスルーが不可欠
セルロースナノファイバーとは(2)変換プロセスの問題
磯貝明(東京大学特別教授/東京大学名誉教授)
今回の講義では、植物の要素とその用途について詳細な解説を加える。植物の主成分は大きく分けて3種類の要素から形成されており、それぞれに特有の性質や用途がある。その中でも、セルロースは環境適応性が高いために、新たな素材として着目されている。しかし、セルロースを利用可能な素材にするプロセスで環境に負荷がかかるなど、乗り越えていかなければならない壁はいまだ存在する。そうした問題を解決する方策として、現在の最適なセルロースの利用法は考えられている。(全7話中第2話)
時間:11分08秒
収録日:2019年11月8日
追加日:2019年12月4日
≪全文≫

●植物成分の構成とそのさまざまな性質の違い


 続いて、植物成分の構造と特性に関して、簡単に説明します。簡単にいうと、植物はおよそ9割が主成分、1割が副成分です。この1割の中には、例えばお茶のカテキンや人間を殺傷することができるトリカブト、量によっては薬にもなる非常に貴重な成分も含まれています。残りの9割は主成分で、セルロース、へミセルロースという多糖類、そしてリグニンという複雑なベンゼン環を持った物質から形成されています。重量からいうと、主成分のおよそ半分がセルロースです。したがって、セルロースは地球上で最大の蓄積量および年間生産量のバイオマスということができます。

 このリグニンという物質は、取り扱いは厄介ですが、大変重要な役割を果たします。植物の生命維持のために、このようなベンゼン環を持った物質がつくられます。多糖類であるセルロースとヘミセルロースは酵素でつくられます。酵素でつくられたものには、必ず可逆反応があり、すなわちセルロースであればセルラーゼという分解酵素、ヘミセルロースであればヘミセルラーゼという分解酵素があります。

 リグニンはラジカルカップリングという有機化学反応で最終的につくられます。私たちが直面しているゴミの問題の原因となっているもの、要するに人間が化学反応でつくったものは生分解性がないのですが、そうした物質を植物が自らつくり出す、つまりリグニンを分解する酵素がありません。それは先述のように化学反応でできているからです。よって、セルロースとヘミセルロースは微生物によって生命維持のためのエネルギー源となりますが、リグニンは分解されずに最終的には石炭や石油といった、現在私たちが用いている化石資源のもととなっている安定な物質だと考えられています。

 次のページで化学構造を簡単に紹介しています。詳細は省きますが、セルロースはこのようにブドウ糖がつながった規則正しい構造をしています。少し構造が異なるブドウ糖からできているデンプンは、私たちがエネルギーとすることができますが、人間はセルロースをエネルギーに変えることはできません。身の回りのものとしては、紙やセルロース繊維、つまり綿繊維、および液晶ディスプレイ用のフィルムなどに用いられています。このように、身の回りの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化(1)情報通信の民主化と「協創」
6Gの研究開発を推進する情報通信の民主化
中尾彰宏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
中国春秋戦国時代と始皇帝(8)合従軍と秦の激闘
合従軍、秦に迫る!…秦王・嬴政を滅ぼしかねなかった激戦の史実
鶴間和幸
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子