水から考える「持続可能」な未来
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人類が経験したことのないリスクが東京に…温暖化の脅威
水から考える「持続可能」な未来(2)気候変動への緩和策と適応策
科学と技術
沖大幹(東京大学大学院工学系研究科 教授)
急速な気候変動が起これば、これまでの気候に応じて形成してきたそれぞれの地域社会は維持できなくなってしまう。ではどうすればいいのか。温暖化を元から断つ「緩和策」だけでなく、温室効果ガスが生じたときの被害を最小限に抑えるための「適応策」も必要なのだ。それぞれ具体的に解説する。(2024年9月14日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分32秒
収録日:2024年9月14日
追加日:2025年3月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●今までの気候に合わせて社会は作られてきた


沖 では、天気がどう変わるかなのですけれど、これが面白い(面白いといったら怒られます)けれど、いちばんは低気圧です。よく低気圧、高気圧、あるいはジェット気流が(スライドの)このへんにあって、それが蛇行すると異常気象になって、みたいな話があります。低気圧、高気圧は北極が冷たくて、赤道が温かいというのを混ぜるためにやってくるのです。それが温暖化すると、北極のほうの温まり方のほうが赤道よりも大きいので、温度差が減るのです。温度差が減って、その境目がどちらかというと極のほうにシフトする。しかも蛇行しやすくなるのです。

 シフトすると結局、問題は今まで降っていたところで降らなくなって、今まで降らなかったところで降るようになることです。私たちの社会の側が今の、あるいはこれまでの雨の降り方、これまでの気温に合わせて社会をつくってきました。空調だってそうです。あるいは、雨水が溜まらないように下水で排水する仕組みもそうです。全部、今までに合わせて町をつくって、農業をしてきたところが変わってしまうので、やり方を変えなければいけないのです。

 私が割と楽観的なのは、日本はまだ豊かだし、技術もあるし、人材も揃っているので、なんとかその変化に耐えられると思うところですけれど、そういうことができない国や地域は非常に困窮する、困ってしまうのだろうということになります。


●温暖化により強力化する熱帯低気圧


沖 もう1つは熱帯低気圧です。熱帯低気圧は一旦起こったら、強度は増大、しかし頻度つまり数は減少もしくは現状維持だと想定されています。これもメカニズムをしゃべりだすと長いのですけれど、台風が起こるためには「積雲対流」という入道雲が生じて組織化しなければいけないのです。温暖化すると、地表面だけではなくて大気の中層も温まるので安定化して、入道雲が起こりにくくなるのです。

 ところが、(それが)一旦起こると、先ほどの話で、空気の中に水蒸気がいっぱいあって、それが凝結するときに熱をたくさん出す。それが台風のエネルギー源なので、一旦生じると強い(台風)が起こりやすくなるのです。(2024年の)台風10号は迷走しましたね。九州のほうから戻ってきて、また北に行きました。その次の台風が一瞬中国、海南島などを襲って...

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