水から考える「持続可能」な未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
地下水は土地所有者の財産…問題山積みの日本の土地制度
水から考える「持続可能」な未来(7)地下水と土地所有の問題
沖大幹(東京大学大学院工学系研究科 教授)
日本の水資源問題の根本には、土地所有の問題がある。諸外国に比べて土地の売買が誰にでも容易に可能な法体系が、地下水資源の海外流出といった問題とつながっている。講義終了後の質疑応答を通じて、日本の地下水について解説する。(2024年9月14日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第7話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分50秒
収録日:2024年9月14日
追加日:2025年4月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●決断が迫られる水道管の老朽化への対応


―― 先生、まことにありがとうございます。質問の切り出しに、最初に1個だけ私からお訊きしたいのですけれど、先ほど(第6話で)水のインフラの耐用年数が40年とありました。

沖 水道管のことですね。

―― はい、水道管ですね。それが(日本全体の)もう20パーセントになっているということなのですが、水道管の敷設などはそれこそ明治から始まり、ずっと長い歴史をかけてやってきていると思います。耐用年数のピークを迎えるのはだいたいいつぐらいになるのですか。

沖 そろそろですね。

―― そろそろなのですか。

沖 はい。

―― (では水のインフラとして)いちばん増えたのはいつぐらいなのですか。

沖 高度成長期に増えたのです。なので、1960年代から増えて、一旦オイルショックがあって、その後、都市に人口がガーッと流入したあたりで(さらに)増やしていったので、(それが)ちょうど1980年だとすると、もうそろそろピークを迎えたかなという感じです。

―― なるほど。それに比して、予算的にはかなり厳しくなっているということはあるのでしょうか。

沖 予算的に厳しいというか、ない袖は振れないので、先延ばしにするのです。厳密にいうと、40年の耐用年数でも、もちろん場合によって50年、60年使えるわけなので、それは皆さんだましだましやっているのです。ただし、それではもう最後は壊れたら直すという世の中になるのですけれど、それは寂しいですよ。

 アメリカの市町村、ミュニシパリティ(地方自治体)はわりとそうなっているところが多くて、壊れたら直すのです。つまり、事前に計画的に更新していくのではなくて、壊れるまで使うしかない状況なのです。

 そうすると、今日皆さん、朝(からこの会場に)来ていますけれど、それ(インフラの更新)がちゃんと計画的にできなかったら「あれ、どうしたの?」「いや、今日、朝、水道止まってね。ちょっとトイレも行けないし、(ここに)来られなかった」というようなことが日常茶飯事になる世の中ということです。それは寂しいですね。寂しいけれど、(そうなるとしたら、そのときは)そのほうがお金(的に)は得だし、いいのではないかと思ったかもしれません。それは社会の決断です。

―― なるほど。それが迫られているタイミングだということですね。ありがとうございます。皆さん、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
航空機事故ゼロをめざして(1)フラッター現象とは何か
零戦の開発段階で起きたフラッター現象…事故の教訓とは
鈴木真二
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
内側から見たアメリカと日本(3)ビル・ゲイツの世界戦略
「50億人を救う」と宣言したゲイツとの粋なエピソード
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓