水から考える「持続可能」な未来
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水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性
水から考える「持続可能」な未来(8)人材育成と水道事業の課題
科学と技術
沖大幹(東京大学大学院工学系研究科 教授)
日本企業の水資源に関するリスク開示の現状はどうなっているか。革新的な「超越人材」を生み育てるために必要な心構えとは何か。老朽化する水道インフラの更新について、海外のように日本も水道事業に民間資本が入る可能性はあるのか。前回に続き質疑応答を通じて水問題への理解を深めよう。(2024年9月14日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第8話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分34秒
収録日:2024年9月14日
追加日:2025年4月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●企業を困らせる水リスク評価の現在


――【質問6】企業の水関連のリスク開示について。水不足でペットボトルの水が普通の水の1000倍だから水の価格もプレミアになるというお話がありました。もちろん経済原理はあるのでしょうが、農業用水、工業用水でこれだけの市場規模を持っている企業、農業関連や工業関連の企業のリスク開示の状況はどうなっているのでしょうか。また、開示されることで水の扱いにどういうメリットがあるのでしょうか。

沖 はい。ありがとうございます。まず開示に対しては、うちは水を使っていないという、いわゆるオフィス系の企業はあまり関心が湧かないでしょう。

 けれど、メーカー系と、特に食品系、飲料系のところは、もともと水が命であると思っているので、ダブル・マテリアリティ、つまり自分たちのビジネスにとって水が足りなくなる、あるいは洪水も含めて水リスクがどのぐらいあるかを調べる、事業継続に対して水がどのぐらい重要であるか調べるということと、自分たちの活動がどのぐらい水に依存し(どのぐらい)生態系に影響を及ぼしていて、それがレピュテーションをどのぐらい下げるかということに関して、水をたくさん使う企業は調査を始めていますが、先ほどのような感じで情報がなかなかないということで困られています。

 日本国内に限ると、洪水のデータはいっぱいあるのだけれど、水不足は先ほどお見せした通り、最近あまり被害が生じていないので、どうやってリスクを推定していいか分からないと、損保などの皆さんは困っていらっしゃると聞いています。では、どうやってそういう情報を出しましょうかという話をしているという段階になります。


●シミュレーションはあくまで平均の予測


――【質問7】シミュレーションモデルに不信感を持っています。2013年に北極海の氷が全部溶けるという予測がでたのですが、そうならなかった。なぜそうならなかったのか、シミュレーションのどのあたりに欠陥があったのか、説明があまりされていないので、そこは説明すべきではないかと感じています。さらに、いつになったら北極海の氷が溶けるかの予測もできればしてほしい。それが1つ目です。

沖 はい。まず北極のシミュレーションについてですが、その2013年のものは、私ははっきり覚えていないのですけれど、間違えたのではないですかね。何年に、ということを言った時点で、それ...

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