●創造的な人材育成への取り組みが全国的に広がっている
そしてこれが最後ですが、第三に創造的な人材を育んでいく動きが非常に強くなっていることを感じます。教育が変わって、人が創造的に変わって、そして社会が変わっていくという循環が非常に顕著に生まれ出すのではないかという期待を抱いています。
例えば、軽井沢という町に「軽井沢風越学園」という個人でつくった学園があります。自然に学び、創造的な子どもたちを育てようという思いで新しくできたのです。そういうところには吸引力があって、そこに子どもを行かせたいということで、人口の流入が起こり出しているという話を先月、軽井沢の町長さんから聞きました。軽井沢には他に、「ISAK(International School of Asia at Karuizawa)」と呼ばれる学校があります。やはりここも、国際性があって創造性のある若者を育てることを目標としていて、吸引力になっています。
同じく先月、「AIU(Akita international University)」という、秋田にある国際教養大学のモンテ・カセム学長にお会いしました。一学年100人なのですが、全員が4年のうち1年は提携校である海外で学びます。いわゆる交換留学です。提携校からはAIUに来て、AIUの学生は提携校に行く。1年間海外で学び、海外から来た子どもたち、あるいは国内の子どもたちは視野を広げる。そして、彼らが社会課題の解決に参加することを目指しているということをカセム学長は明確に語っています。
また、岐阜県の飛騨高山大学が2024年に開校する予定になっています。そこには今、慶應義塾大学の教授である宮田裕章先生という、40代の極めて素晴らしい方が行く予定です。大変ユニークな格好でテレビにもしばしば登場しています。ここでは、全国に10か所ほどの拠点をつくって、そこでその場の課題に対峙していきます。「地域から世界へ文化を発信する」ということをうたい文句にしています。今、地域は衰退しつつあり、これは未来の世界の姿でもあるのですが、「衰退するままでいいのか」という問いに対して「いや、そうではない。地方から新しい文化を発信する」という姿勢を持っています。これは素晴らしい試みだと思います。
●「人の流動化×創造的な人材養成の場」の掛け算で日本を変える
また、大学がなくてもこうした取り組みは可能です。例えば種子島では、19の大学の人たちが出たり入ったり...