2022年頭所感
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
2022年は希望の年、「課題解決先進国」日本への動きが活発化
2022年頭所感(1)「課題解決先進国」日本に向けた試み
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
今、世界は大きな転換期を迎えている。その背景として長寿化や知識の爆発などが挙げられるが、そうした中、2022年は希望あふれる年になるだろうと語る小宮山氏。その展望として3つのポイントを挙げて、その希望について提言する。第1話ではスタートアップへの期待と、「課題解決先進国」に向けた大学の取り組みについてだ。(全2話中第1話)
時間:12分31秒
収録日:2021年12月1日
追加日:2022年1月1日
≪全文≫

●人類の転換期を引き起こす3つの背景


 皆さん、新年おめでとうございます。テンミニッツTVの座長をしている小宮山宏です。年頭にあたって、少し希望のあるお話をさせていただきたいと思います。

 人類は今まさに、文化・文明の転換期を迎えています。その背景の一つ目には、人類の活動の拡大に対して、地球が小さくなってしまったという問題があります。二つ目は、寿命が延びる、つまり長寿化です。1900年頃には31歳だった世界の平均寿命がすでに73歳を超え、人類が長く生きられるようになったという長寿化の問題があります。三つ目は、知識が本当に爆発的に増えたことです。こうした地球の問題・長寿の問題・知識の問題が本質的な背景だと思います。

 そうした背景の中には、さまざまな課題があります。新型コロナもその一つですし、米中覇権争いももちろんあります。そういうことは皆さんよくご存じだと思いますし、年頭でもあるので、今日は少し希望のある話をします。間違いなく希望はあります。


●スタートアップが続々と誕生して活躍する予感


 第一は期待でもあるのですが、私は今年(2022年)あたりベンチャーやスタートアップ企業が続々と生まれてくる予感がしています。すでにいろいろな兆候はあって、必要性もあります。会社も最初は小さいですし、いずれもスタートアップでした。それがだんだんと大きくなって絶頂期を迎えて、やがて衰退していく。つまり、人間と同じようなライフサイクルをたどるのです。そのため、既存の企業が生き残るだけでは経済は衰退してしまいます。それを補うのがスタートアップです。特に、脱炭素などといったルールそのものが変わっていく転換期には、そういう新しいルールに応じたスタートアップがどんどん生まれてくれないと困るのです。

 若者の思いもそうです。もう十数年前のことになりますが、私が東京大学にいて、そうしたことがスタートした時はまだまだという感じでした。しかし、今ではファンドもずいぶん増えてきていて、ベンチャーを志す人も増えてきています。また、そうしたベンチャーを、例えばM&Aで大企業が買って自らの実業に組み込んでいく動きや、あるいはベンチャーがそのまま上場(=IPO)して大きくなっていくなど、さまざまなエコシステムの中に組み込んでいく体制ができてきています。

 最近では、例えば「プリファードネットワークス(Prefe...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
AI時代と人間の再定義(5)AI親友論と「WE」という概念の問題
AI親友論って何?「Self-as-WE」と京都学派の思想
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(2)有志多国籍軍と西側同盟の可能性
国連改革は可能か…残されているのは「西側同盟」の可能性
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
プロジェクトマネジメントの基本(7)アジャイルプロジェクトと成功の鍵
発注側と受注側で異なるプロジェクトの成功・失敗要因
大塚有希子
会計検査から見えてくる日本政治の実態(3)戦後初となる補正予算の検査
繰越金が4割も…戦後初「補正予算の会計検査」の実態
田中弥生
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一