江戸とローマ~テルマエと浮世風呂
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ローマ水道と江戸の上水、卓越した両者の水道システム
江戸とローマ~テルマエと浮世風呂(1)卓越した水道システム
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
日本人と古代ローマ人の共通点は、他者のアイデアを洗練させ、改良して持続するところにあった。オリジナリティにこだわらないことがその強みになったのである。注目すべきは水道、そしてお風呂(公衆浴場)だ。今回は古代ローマと江戸の水道について解説しながら、両者が他の都市よりもいかに突出していたかを伝えていく。(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分52秒
収録日:2021年5月24日
追加日:2022年2月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本人と古代ローマ人に共通する「ソフィスティケイトしていく力」


―― 先生が研究されている「江戸とローマの比較」について、今回は水道やインフラの部分のお話をうかがえればと思います。どちらの都市も、市民階層にまで非常にきれいな水を提供した点で、相当優れた社会でしたね。

本村 そうですね。ローマのほうから考えていけば、ギリシアやカルタゴ、エトルリアなどで小規模な前例がありました。それをローマが大々的に普及させたわけです。

 これは日本人と古代ローマ人の比較をする場合に面白いことです。日本人はよく「オリジナリティがない」「人の真似をして、ちょっと改良しているだけ」と言われますが、ローマ人も意外とそうです。あまりオリジナリティはない。けれども、ギリシア人やエトルリア人、あるいはカルタゴ人のような周辺民族がやっていることを取り入れるわけです。

 最初は取り入れるのだけれども、よりよいものにしていく工夫を惜しまない。その能力が、ローマ人と日本人は世界史の中でも卓越しているところがあるのではないかと思う。つまり、物事をソフィスティケイトしていく能力が非常に優れているということです。

 より良いものにしていく能力というのは、長く社会を続けていくには重要なことです。オリジナリティだけが重要というわけではない。そのあたり、非常に似ていると考えています。

 水道橋を作り、水道を引っ張ることについても同様で、「きれいな水が大事だ」ということは、ギリシア人も考えました。カルタゴの遺跡に行けば今も水道橋の跡が残っています。だから、そのこと自体を彼らが発想したわけではない。ただ、ローマ人はそれを大規模に、しかも長期間にわたって確保するシステムとしてつくりあげ、磨き上げていきました。そのことにおいてローマは卓越していたわけです。


●まっすぐに造られたアッピア街道に見るローマ的発想


本村 有名なアッピア街道を造ったアッピウス・クラウディウスという人がいます。水道の話に戻しますと、最初に手がけたのがアッピウス・クラウディウスだったため、「アッピア水道」という形で残っています。最初に水道橋が考えられたのは、イタリアの都市部では雨が降らないためです。彼らがどこから水を確保していたかというと、それなりに雨の降る山間部でした。

 泉が湧いているような山間部から、きれいな水を引っ張...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
大国主神に学ぶ日本人の生き方(8)求婚の歌と縁結びの力
大国主神が詠んだ歌…『古事記』の歌の意味と縁結びの力
鎌田東二
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博