人新世とは何か~人類の進化と負の痕跡
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人新世はいつから?…更新世と完新世に続く新たな時代区分
人新世とは何か~人類の進化と負の痕跡(1)地球史と人類の進化史
科学と技術
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授/日本芸術文化振興会理事長)
「人新世」という言葉が脚光を浴びている。人類の営みは、地質区分に新しい時代区分を産むほど、地球表面に影響を及ぼしているのだろうか。なぜ、世界中が注目するようになったのだろう。そして、人新世と呼べるようになるのはいつ頃からか。長いスパンで地球と人類の歴史を振り返ると、それらの疑問が解決する。(全3話中第1話)
時間:12分38秒
収録日:2021年4月19日
追加日:2021年6月27日
≪全文≫

●46億年の地球全史を振り返る


 総合研究大学院大学の長谷川と申します。今日は、「人新世(Anthropocene)」という区分が提唱されていることについて、どうしてそういうことになったのかというお話と、それをめぐる背景について、少し解説してみたいと思います。

 「アントロポシーン」「アントロポセン」「人新世(じんしんせい、ひとしんせい)」と、人によって呼び方はさまざまですが、これを理解するには地球の長い年代の区分を知っておかないといけません。

 その長さは46億年です。地球ができてから現在までには46億年の歴史があります。この中で、地球のいろいろな変化が起こったとき、例えば中がどうなった、かたまりがどうした、海ができたというようなことがあるたびに、時代として区分をしています。

 それで「冥王代」「太古代」「原生代」というものがあって、「顕生代」に入ります。顕生代は、化石に残るような生きものがたくさん出てきた時代ですが、それより以前にも長い時代がありました。

 この図は長さと時間に関係なく書いているので、この長さだったということではないのですが、46億年の地球全史が冥王代、太古代、原生代、顕生代に分かれることを示しています。

 46億年前が始まりで、しばらく後の38億年前に初めての生命が地球上に現れたと考えられています。そこからはずっと単細胞で、小さくて見えないような生きものが続きました。5億4000万年前ぐらいにちゃんと化石に残るような大きさの生きものが地球全体に広がり、そこから先の今までを「顕生代」と呼んでいます。

 この顕生代だけを拡大してみると、5億4000万年前から現在までの歴史が、古生代、中生代、新生代と分けられています。

 これは皆さんよくご存じかと思いますが、古生代は5億4000万年ぐらい前の「カンブリア紀」から始まります。中生代は「恐竜の時代」、新生代は6600年前に始まって「哺乳類の時代」といわれています。


●第4紀は更新世と完新世だけでよいのか


 今度は、6600年前に始まった新生代を拡大して見てみると、第3紀と第4紀の2つに分けられています。さらに今は第3紀を「古第3紀」と「新第3紀」に分けるようになっているので、3つに分けられます。

 第4紀は何かというと、258万年前に始まって現在まで続い...

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