人新世とは何か~人類の進化と負の痕跡
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「人間圏」が新たに主流となった地質時代が人新世
人新世とは何か~人類の進化と負の痕跡(3)無視できなくなった負の人間活動
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
「人間活動が地質学的な痕跡を残す」という人新世の問題提起に対して、地球を鳥瞰的に見ても「人間圏」の存在は明らかだという指摘がある。また、物質の循環を基準とした「エコロジカル・フットプリント」という指標の導入も進んでいる。いずれを見ても、文明は「見過ごせない」段階に入ったようだ。(全3話中第3話)
時間:13分44秒
収録日:2021年4月19日
追加日:2021年7月4日
≪全文≫

●「生物圏」の中につくられた「人間圏」


 地質年代という46億年の歴史の中で、ごくごく最近のあり方は異常ではないかということを、前回までに話しました。

 別の見方をして、時間ではなく空間で見てみると、地球という物体の周りは大気が取り巻いていて、その中に鳥がいたりするわけです。そこで、「圏(sphere)」という分け方が成り立ちます。

 岩石でできている地球は「岩石圏(lithosphere)」、それを取り巻く大気が「大気圏(atmosphere)」、その中に生物が生きている部分を「生物圏(biosphere)」といいます。

 それをざっと絵で描いてみると、地殻という地球表面があって、下へ行くとマントルになり、「核」という燃えている熱いドロドロのところに至るのが地球の構造です。地球表面の地殻の上に大気が乗っているわけですが、その間のところに生物が棲んでいる。ここを「生物圏」と呼んでいます。



 生物圏は、太陽エネルギーを原動力にして動いているわけですが、人間は石炭・石油・原子力などを利用して、自前のエネルギーで動くようになった。これにより生物圏の中に「人間圏(anthroposphere)」と呼べるものをつくってしまったのではないかと指摘する人が出てきました。元東京大学教授の松井孝典先生などが人間圏について、生物圏の中でもちょっと違うものだということで提唱されていました。

 これも先ほどの人新世の考えと似ています。結局、人間圏はいつできたといえるのか。それが人新世の始まりということなのでしょう。それはやはり、自前のエネルギーを投入できるということで、産業革命以後なのでしょうか。

 この時代には人間活動というものが人間圏をつくって、いわば「勝手に動くように」なった。そこから始まり、地質時代の区分としても明確に区分できるほど変わった時代になったことが問題意識として提案されているのが、人新世なのだと思います。

 ですから地球圏で見たときも、新たな人間圏というものが主流となった地質時代が人新世なのだということなのです。答えは、「そうですね(YES)。やっぱりおかしいですよね」ということになろうと思います。


●エネルギーと物質の循環を観察するエコシ...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子
Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化(1)情報通信の民主化と「協創」
6Gの研究開発を推進する情報通信の民主化
中尾彰宏
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(27)昭和の名将・根本博
【10min解説】根本博…戦後の内蒙古での激闘と台湾での義戦
テンミニッツ・アカデミー編集部
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
おもしろき『法華経』の世界(2)『法華経』と「神道」の共通性
『法華経』と「神道」はアバター!?通底する世界観とは
鎌田東二
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
資本主義の再定義…哲学で考える(2)今の時代の人間観と共生
「共生」の本当の意味とは?…人間はHuman Co-becoming
中島隆博
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫