「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史
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コペルニクスによる地動説の再発見がもたらした影響
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(3)宇宙観の変遷その2
科学と技術
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
「コペルニクスは地動説を再発見した」とは、どのようなことを意味しているのか。アリストテレスたちが発達させた天動説はその後体系化され、1000年以上も信じられてきたが、ルネサンス期になって一転。コペルニクスが登場し、地動説を発表することになるのだが、そこには紆余曲折があった。(全12話中第3話)
時間:10分19秒
収録日:2020年8月25日
追加日:2020年12月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●実験や観測が重視されるヘレニズム期に「地動説」を考案


 時代は下り、ギリシアはアレキサンダー大王が率いるマケドニアに征服されます。そうして文化の交流が進み、ヘレニズム時代を迎えます。ヘレニズム期は、実験や観測が重視されることになります。

 実は、そこで出てきたアリスタルコスが革新的なことを言い始めます。彼はギリシア出身ですが、ヘレニズム期にエジプトのアレキサンドリアで活躍しました。実はコペルニクスよりも1000年以上前に「地動説」を考案しているのです。

 彼はどうやってそういうことを言い始めたかというと、太陽と月までの距離の比、つまり地球から月と地球から太陽までの距離の比を、スライドでお見せした図のような幾何学的な考察から算出したのです。月がちょうど半月になっているときに、月と太陽の角度を測定したのです。そうすると、地球から見て月と太陽はほぼ90度の位置にある。これはつまり、太陽はとても遠くにないといけないことになるわけです。

 太陽と月は角度的に同じような大きさに見えますが、太陽はもっと遠いということです。遠いけど月と同じ大きさに見えるということは、とても大きくないといけないということになったわけです。ということは、大きなものが小さなものの周りを回るというのはおかしいのではないかということになります。

 さらに彼は、月と地球の大きさの比も求めています。なので、太陽は地球よりもはるかに大きいということも分かってきました。大きなものが小さなものの周りを回ることの不自然さから、実は太陽の周りを地球や月が回っているのではないかという説を提唱します。

 ただ、自信がなかったのか、あまり強く主張しないのです。「こういう考え方もありますよ」といった主張といいますか、そのような文献の書き方をしているので、当時はあまり注目されませんでした。ですから、文献は残るのですが、当時の趨勢からは外れていくことになりました。


●天動説を体系化した天文書『アルマゲスト』が1000年以上読まれる


 そうこうしていくうちに古代ローマ時代、プトレマイオス(アレキサンドリアで活躍していたエジプト人)が「天動説」を体系化して、一つの本にまとめあげます。それが天文書『アルマゲスト』という本で、1000年以上にわたり天文学の古典として長く読まれることに...

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