「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ニュートンはどうやって地動説の正しさを証明したのか
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(4)宇宙観の変遷その3
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
コペルニクスの地動説はルネッサンス期以降、活版印刷によってかなり広がっていった。その後、地動説はどのように継承されていき、賛同者たちはどのような運命をたどったのか。そんな折に天才ニュートンが登場するのだが、彼によって天動説が明確に否定され、地動説が正しいことが明らかになる。彼はいったいどのような発見をしたのか。 (全12話中第4話)
時間:5分49秒
収録日:2020年8月25日
追加日:2021年1月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●コペルニクスの賛同者ブルーノ、ガリレオの悲劇


 ルネッサンス期以降の話に入りますが、コペルニクスの地動説は活版印刷によってかなり広がっているわけです。そこで、いろんな人がそれを検証しようと、いろんな説を主張するわけですが、その中で最も過激な説を主張したのがジョルダーノ・ブルーノです。

 ブルーノはイタリアのキリスト教の司祭ですが、司祭でありながら天文の研究をしていて、コペルニクスの地動説に感化された人です。彼もいろんな書物をお書きになっていますが、『無限、宇宙および諸世界について』という文献がとても有名です。

 彼は、コペルニクスの地動説には基本的に賛同します。ただ、太陽が中心にあって、すべてがそれを回るという説には異を唱えるのですね。太陽と同じような星が宇宙には無数にある。そしてそれが恒星であると考えます。そこで宇宙は無限に広がっているという、当時としては革新的といいますか、異端極まりない考えを述べるのです。今にしてみれば、それは正解なのですが。

 さらに過激なことに、彼は、その無数の太陽にそれぞれ惑星があって、それぞれにヒトがいるだろうという宇宙人存在説まで主張するのです。

 彼は(先述したように)キリスト教の司祭ですから、当然問題になり、異端裁判にかけられます。そこで自分の説を捨てるように迫られるのですが、頑としてそれを拒んだために処刑されてしまうという、悲劇の運命をたどるのです。

 同時代、同じイタリアにガリレオ・ガリレイという天才が出現します。ガリレオにはいろんな実績がありますが、天文研究としてとても大きな実績があります。『星界の報告』『天文対話』という書物の中で地動説を強く主張しているのです。

 ガリレオの時代は、望遠鏡が発明された時代です。ガリレオも自作の望遠鏡で木星を観測するのですが、木星の衛星が木星を回る姿を見て、地動説を確信したといわれています。ただ、イタリアでローマに近くキリスト教の影響の強いところですから、当然、宗教裁判にかけられてこの説を捨てるように迫られます。ガリレオは捨てる宣言を書かされて生き延びるのですが、無期懲役の刑を言い渡されます。直後に減刑されることになるらしいのですが、軟禁されて、失意のまま亡くなったそうです。


●ニュートン力学が証明した地動説の正しさ


...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理