バッハで学ぶクラシックの本質
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ピタゴラスが発見した音楽理論…宇宙の調和と天空の音楽
バッハで学ぶクラシックの本質(3)宇宙の調和と音楽
樋口隆一(明治学院大学名誉教授/音楽学者/指揮者)
なぜ音楽はリベラルアーツの一部として重要視されてきたのか。実は、「音楽」という言葉には、現代的な意味よりもはるかに大きい世界の調和を示す意味があった。その中で現在の意味での音楽は、ピタゴラスの発見などによって、宇宙と人体の調和を表現する神秘的な意味を持つとされ、学問的追究の対象となっていったのである。(全9話中第3話)
時間:13分43秒
収録日:2019年9月19日
追加日:2019年11月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●三つの音楽という考え方


 なぜ音楽がこのような四つの学問の一つとして重要視されてきたのか。それを知るためには、当時の人たちが考えていた宇宙の調和、あるいは「天空の音楽」といったことを理解する必要があります。

 宇宙の調和のことをラテン語では「harmonia mundi」といいます。レコードのレーベル名にもなっています。宇宙が音楽を奏でているという考え方です。最近では、遠くの銀河から来る電波を受信して意味を考えようということもいわれていますが、そうではなくて宇宙そのもの、天空が一つの調和に支配されているという考え方です。それは誰もが見れば分かることなのです。12の星座が規則的にめぐってきます。惑星も規則的に動いています。天空は非常に確固たる法則に基づいて動いていて、それが人間に影響を与えるという理解なのです。

 その全てを、当時の人たちは音楽(musica)なんだと考えました。当時の人たちにとって、調和(harmonia)ということと音楽(musica)ということはほとんど同義です。そして、これは万物の調和全てなのですね。

 当時の人たちは、三つの音楽、あるいは三つの調和があると考えました。ボエティウスという人が音楽の本に書いていますが、最初の音楽は宇宙の音楽です。「Musica mundana」、これは、天と惑星の協和の重要性を説きます。火、水、気、地(土)の4大元素と昔はいわれていたのです。今、エコロジーの問題で、調和が崩れているために猛暑やひどい嵐に見舞われたりしていますね。愚かな人間によって自然が壊されているのです。ですから、そうした調和が重要だと、大昔からいわれているのです。人間ならば皆、感じることなのですね。

 そして、時間の協和もあります。時間も不思議なものですね。音楽というのは時間芸術といわれていますが、つまり歌を歌うことは一つの特別な時間を作り出すのです。その音楽が美しい調和を持っていると、幸せな時間になります。その中で、例えば突然、交通事故などが起こってしまったら、全てがぶっ壊れてしまうわけですが、そうではなくて、幸せな時間を私たちは過ごしたいわけです。そのために実は音楽があるということです。そうした時間の協和もあります。これらを全てひっくるめて、「宇宙の音楽」と呼んだのです。

 第2は人間の音楽です。「Musica humana」と呼ばれました。これは東洋、漢方と同じような考え方です...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
山上憶良「好去好来の歌」を読む(1)山上憶良に学ぶ国際感覚
8世紀を代表する知識人・山上憶良が感じたグローバリズム
上野誠
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠