【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
空海の『十住心論』が説いた「真言密教こそが最高の教え」
【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編(3)『十住心論』と真言密教
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
『十住心論』は空海の主著といっていい名著だが、そこでは世界の思想を集大成して10の段階に分け、その頂点に真言密教が位置する。まったくの無知から仏教以外の宗教を経て、小乗・大乗へ。密教と対立する9つは顕教だが、その中に密教の萌芽が潜むともいわれる。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分46秒
収録日:2020年8月20日
追加日:2021年3月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●あらゆる教えを集大成して段階を分けた『十住心論』


―― では、次の文章にいきたいと思います。第1話でも少しお話の出た『十住心論』ですが、これはどういう書物になるのでしょうか。

賴住  『十住心論』は、空海の主著といっていいと思います。先ほど少し申し上げたように、世界のあらゆる教えや人間のあり方などを集大成して、最終的にそれが真言密教の立場の中で包み込まれていく。そのようなことを空海自身が言っていますので、非常に体系的な書物であるといわれています。

―― 以下の10項目を挙げていただいていますが、この10個はそれぞれどういうものですか。

賴住 まず、「異生羝羊心(いしょうていようしん)」とありますが、これは人間の一番原形のようなものです。「善悪の道理に暗く、煩悩のままに生きる段階」と書きましたが、まだ人間が人間になっていない動物のような段階で、何がいい・悪いというものも分からず、欲望のまま、煩悩のままに生活している段階ということです。

―― ということは、これは一番低い段階だという位置づけですね。

賴住 そうですね。一番低い出発点ということになります。


●動物から童へと進んでいく「非・仏教」の階梯


賴住 その後が「愚童持斎心」ということで、だんだん人間らしくなっていきます。よく倫理の立場ということを言いますが、世の中のルールがだんだん分かり、何がいいのか悪いのかが分かってきます。それにより、こうしなければいけない、ああしなければいけないということができてくる段階。仏教的な立場からいえば、人間の本来持っている仏性(仏の本質)が少しずつ花開いてきた最初の段階ということで、少し人間らしくなった段階です。

 ただ、倫理の立場については全部で10個あるうちの2番目ということで、空海の立場からは非常に初歩的と考えられているわけです。

―― なるほど。現代に生きるわれわれは、もしかするとせいぜいこの段階のような感じかもしれないですね。

賴住 そうですね。本当になかなか1、2の段階から抜けられないということもあります。

―― 抜けられない。さらに8つあるわけですけれども、3番目はどういうところでございましょうか。

賴住 3番目は「嬰童無畏心(ようどうむいしん)」といいます。これは人間界の苦を逃れ、天上界に憧れて安心立命を求...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
組織心理学~「妬み」との上手な付き合い方(3)感謝のこころと「見る目」の養成
よく妬まれる人はどうすればいい?ポイントは察知能力
山浦一保
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎