空海の真髄
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
悠々たり悠々たり…『秘蔵宝鑰』序の詩が示す希望の教え
空海の真髄(4)詩で読む『秘蔵宝鑰』
鎌田東二(京都大学名誉教授)
“悠々たり悠々たり”にはじまる空海『秘蔵宝鑰』序文の詩文。まことにリズミカルな連呼で、たたみかけていく文章である。このリフレインで彼岸へ連れ去られそうな魂は、選べる道の多様さと迷える世界での認識の誤りに出会い、“死に死に死に死んで死の終りに冥し”へと突入していく。これは絶望のようにも思えるが、本当はそこから反転して光の方に行けるのだという希望を示すのである。今回は『秘蔵宝鑰』の冒頭に掲げられた詩を深く鑑賞していく。(全7話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分23秒
収録日:2024年8月26日
追加日:2024年11月23日
≪全文≫

●“悠々たり悠々たり”と始まる『秘蔵宝鑰』の詩文


鎌田 (空海は)その(『秘蔵宝鑰』の)序文には詩を置きました。今(前回)お話ししたのは「十の意識がどうなっているか」という論理構成でしたが、それが詩文に表されています。

―― これは論証なのですね。

鎌田 そうです。だから、序論・本論・結論でいえば本論ですね。今(前回)私が説明したのは本論の部分で、その一つひとつに「偈(げ)」という詩文によって、分かりやすく説明している部分があるわけです。

 ですから、『秘密曼荼羅十住心論』という非常に固い哲学論文のような記述に比べれば、詩があることでずいぶん分かりやすくなっています。しかも、一番最初を詩(漢詩)で始めている。その漢詩を書き下しで読みます。

 『弘法大師全集』では全部漢文で出てきます。「悠悠たり」という言葉で始まります。それを、ちくま学芸文庫の『空海コレクション1』(宮坂宥勝監修)の『秘蔵宝鑰』の言葉を取ると、このようになります。

 「悠々たり悠々たり太(はなは)だ悠々たり 内外(ないげ)のけんしょう(※)千万の軸あり
 杳々(ようよう)たり杳々たり甚だ杳々たり 道をいい道をいうに百種の道あり
 書死(た)へ諷死(ふうた)へなましかば本何(もといかん)がなさん
 知らじ知らじ吾れも知らじ

 思い思い思い思うとも聖(しょう)も心(し)ることなけん
 牛頭草を嘗めて病者を悲しみ 断し(※)車を機て迷方を愍(あわれ)む
 三界の狂人は狂せることを知らず 四生の盲者は盲なることを識(さと)らず
 生れ生れ生れ生れて生(しょう)の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終りに冥(くら)し」
 ※漢字はスライド参照
 
鎌田 いかがですか。

―― 非常にリズミカルに、たたみかけていく文章ですね。

鎌田 たたみかけてきますよね。「悠々たり悠々たり」は(現代だと)“リンダリンダ、リンダリンダ……”みたいな、ね。

―― その連呼に近いところがありますね。

鎌田 それで、感覚が分かるでしょう。“悠々たり悠々たり、太(はなは)だ悠々たり”なんてイメージが。

―― そうですね、本当に悠々たる感じが。

鎌田 まあ“リンダリンダ”ですよ。連呼やシュプレヒコールみたいなもの。それをバーッとやるので、インパクト満点です。これを詠んだ淳和天皇は、やはり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
老年が惨めと思われる4つの理由とは…キケロの論駁に学べ
本村凌二
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編(1)空海と最澄
空海と最澄の関係に大きな影響を与えた「密教」の位置づけ
賴住光子
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(2)司令官の決断と苦悩
玉砕したアッツ島の絵を毎朝拝んでいた樋口季一郎…司令官の苦しみ
門田隆将
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
インフレの行方…歴史から将来を予測する(3)戦後の日本経済と海外のインフレ率
オイルショック、バブル…過去と現在の環境の共通点は?
養田功一郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(2)戦略リーダーシップの8次元分析
総合評価は?トランプ大統領の戦略リーダーシップ徹底分析
東秀敏