【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『即身成仏義』で空海が説いた悟りの方法「三密」修行
【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編(2)『即身成仏義』と自他一如
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
空海の残した名著の一冊目は『即身成仏義』である。本来、仏教では悟りを得るために「未来永劫」というほどの長時間を要すると説いたが、空海は「現在の自分の身体」で速やかに悟る方法を書き残した。それが、身口意による「三密」修行だが、同じ大乗仏教として、最澄の世界観と相似するところもある。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分31秒
収録日:2020年8月20日
追加日:2021年3月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●「この身のままで速やかに仏に」なることを求めた空海


―― では、空海の残した文章のほうにまいりたいと思います。まず『即身成仏義』ですが、これはどういうものですか?

賴住  はい。「即身成仏」というのは、空海が非常に重視していた事柄で、「この身のままで速やかに仏になる」という考え方です。

 一般的に、仏教では、何度も何度も輪廻転生して、生まれ変わり続けながらずっと修行し続けて、非常に長い期間がたってようやく成仏できるというのが基本です。これを「三劫成仏」といいますが、三劫の「劫」は時間の単位です。100年に1度天女が天から下りてきて、非常に大きな岩をすっと袖でなでる。そうすると、ほんの少しだけ岩が擦り減る。それをずっと続けていって、最後に岩がなくなったら「一劫」になるといわれます。

―― それは膨大な時間ですね。

賴住 膨大な時間です。それを3回繰り返すということで、本当に長い期間を生まれ変わり死に変わり修行し続けないと成仏できないぐらい、成仏というのは難しいのだということです。しかし、空海をはじめとする密教思想の中では「即身成仏」ということで、まさに生まれたままのこの身で修行して成仏できるという考え方を強く打ち出していきました。

―― 日本で「即身成仏」というと、例えば土の中にこもって、ずっとお経を唱えながら亡くなっていったり、あるいは「補陀落渡海」のように、和歌山の海から漕ぎ出していくようなものも有名ですが、それらとも結びつく考えですか。

賴住 そうですね、そのようにも展開していくと思いますが、空海が言っていたのは、むしろ、もう少し哲学的な部分が多いのではないかと思われます。

―― 哲学的な部分ですか。分かりました。


●達成すべき「理想の悟りの境地」を表現


―― では、実際に読んでみたいと思います。

「六大無礙(ろくだいむげ)にして常に瑜伽(ゆが)なり。四種曼荼(ししゅまんだ)各(おのおの)離れず。三密加持すれば速疾(そくしつ)に顕わる。重重帝網(じゅうじゅうたいもう)なるを即身と名づく。」

 これは非常に難しい文章でございますね。

賴住 そうですね。これはもう空海が、自分の「即身成仏」ということに託している思想的な意味を端的に全面展開している文章で、本当に難しい文章です。

 「六大」というの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(6)賴住光子先生ラフカディオ・ハーン論
ラフカディオ・ハーン『怪談』と『神国日本』の深い秘密
テンミニッツ・アカデミー編集部
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
『孫子』を読む:地形篇(1)六地形の戦略を学ぶ
ベトナム戦争でホー・チ・ミンが学んだ『孫子』地形篇とは
田口佳史
印象派の解体と最後の印象派展(5)ポスト印象派の台頭
ゴーガン、ルドン、スーラ、ゴッホ…ポスト印象派の時代へ
安井裕雄
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
変化する日本株式市場とPEファンド(3)米国型への転換を迫られる日本企業
いまアクティビストの動きは?…進む「米国化」の現状
百瀬裕規
新撰組と幕末日本の「真実」(4)江戸の剣術道場が流行した背景
剣術三大流派の道場主も農民出身?…剣術道場の意外な真実
堀口茉純
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
いま夏目漱石の前期三部作を読む(9)反知性主義の時代を生き抜くために
なぜ『門』なのか?反知性主義の時代を生き抜くヒント
與那覇潤