哲学の役割と近代日本の挑戦
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
西郷隆盛、ガリレオ…偉人伝が教えてくれた人間のモデル
哲学の役割と近代日本の挑戦(6)歴史を動かす人物と歴史の見方
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
戦前はとても国際的で、三木清や九鬼周造がドイツに留学し、当時の最先端の哲学を現地で学ぶなど、世界的にも哲学に切磋琢磨した時代だった。その時代についてもちゃんと覚えておくべきだし、さらにいえば、そうした時代に歴史を動かした人物を見ることも重要である。 なぜ危機の時代に人材を輩出できたのか。歴史的なデータには残らない人物としての魅力、「人の大きさ」という点で動いてきた部分もある。そこと向き合うことが、これからの歴史を動かすヒントになるのではないだろうか。(全6話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12分41秒
収録日:2023年7月28日
追加日:2023年11月4日
≪全文≫

●戦前は国際的で人の往来も多く、切磋琢磨して哲学を学んだ時代


―― 最後になりますが、日清戦争から辛亥革命までの間、清朝が科挙を廃止して、孫文も周恩来もみんな、どんどん日本へ来ました。その中国人のうちの8割方の人がなんらかの形で、頭山満や宮崎滔天、梅屋庄吉、あるいは安川財閥の安川(敬一郎)――屋敷の中に別宅を建てて孫文を4年間住まわせ、毎月500円ずつ小遣いを渡した――というような人たちのサポートを受けました。そこがけっこう消し去られてしまっているように思います。

納富 おっしゃるように本当に、戦前のフェーズを見て、大正や昭和など、どこまでのことかということを見ながらでないと、“軍国”ということで一緒くたにできるわけでもないと思います。

 また、本当に忘れてしまっていますが、大正や昭和のはじめは逆に非常に国際的で、人がヨーロッパなどにふっと行って、文化面では画家も小説家もみんな行くような、卓越した時代があったわけです。それこそ「モダン」という単語をたくさん使うようになった時代でした。そういうものは、後から見るとなかなか見えてこないということもあります。

 日本、中国、韓国については――韓国は併合問題があるので難しいのですが――中国との関係でいうと、多分日本は日清戦争に勝ったとはいえ、やはり中国に対する、ある種の敬意も含めて、やはり“お互いに”という感じが文化的にもあったと思います。

 哲学者についても、(本シリーズ講義内で)日本でさまざまな概念をつくったと申しましたが、中国から日本に留学して哲学を勉強するわけです。東大の(哲学科)桑木厳翼などから学んだり、いろんなところにきたりして、ドイツ哲学を勉強する。その人たちが帰っていって、またカントやそういうものを中国で教えるということがあった。

 そこは、日本のほうが(哲学の進展が)少し早いところはありますが、お互い様で行ったり来たりしながら、ある種“よくしよう”という感じでしょうか。日本が中国から搾取しようというのではなく、アジアとして“よくしよう”という、兄弟のような感覚は強かったのではないかと思います。

 だから、その時代についてもちゃんと覚えておくべきだし、もっといえばヨーロッパやアメリカとの関係にしても、べつに屈服しているわけでもなく、文化を非常に強く(学ぼうとしている)。

 例えば、第一次大戦の直後ぐらいと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎