哲学の役割と近代日本の挑戦
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
福沢諭吉ら第一世代の慧眼と夏目漱石ら揺れる世代の対比
哲学の役割と近代日本の挑戦(3)明治の哲学とペリクレスの民主政
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
幕末・明治初期の日本人が慧眼だったのは、初めて遭遇した西洋を知るため、福沢諭吉や岡倉天心をはじめ第一世代といわれる彼らが恥じらいなく西洋へ飛び出し、また西洋から入ってきた新しい学問を一斉に勉強したことだ。一方、夏目漱石をはじめとする第二あるいは第三世代は、個人の内面に深く入っていくことになる、いわば揺れながら進む世代である。今回はその違いについて触れるとともに、ギリシアにおけるペリクレスの位置づけを知り、現代政治と照合していく。(全6話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12分56秒
収録日:2023年7月28日
追加日:2023年10月14日
≪全文≫

●東大哲学科の伝統…明治期に哲学を学んだ慧眼


―― 先生のお部屋(東京大学文学部哲学研究室)を見に行ったときに教えていただいた話では、1877年の東京大学設立の年に、すでに哲学科があったということでした。お話の中では、西周(にし・あまね)はもともと幕命で法律を学ぶためにオランダへ行かされた。そして、その後ろ側にあるものを知るために、ギリシア・ローマの哲学、あるいはキリスト教を学ぶことが大事だと気づき、「(法律と哲学)両方勉強させてくれ」と言ったということでした。これは、すごいことですね。

納富 いやいや、驚くべきですが、日本の伝統や文化は本来そういうものです。つまり、自分が見ているものがどのぐらい深いか、あるいは裏に何があるかが見えてしまう。今の自分はこの辺でやっているけれども、実はここまで(深いところに基礎が)あると(見える)。その感覚が重要で、目の前のものをどうこなすかという話ではない。奥がどこまであるかが見えないと、手前ができないということではないかと思います。

 (江戸時代の)学問のレベルも、今の日本からみると儒学や国学は訓詁的に見えますが、そこで徹底的にそういう教育がされていたということだと思います。

―― 哲学科では、最初の頃に岡倉天心がいたり嘉納治五郎がいたり、すごい人たちばかりですね。

納富 そうですね。哲学科には、井上円了や清沢満之、大西祝などのすごい人たちもいました。哲学といっても、哲学だけを勉強していたわけではないところがまた面白い。そのようなお話をさせていただきましたが、やはり幕末から明治に入り、日本が西洋に追いついてがんばろうとなった時に、みんなが哲学を一斉に勉強したのは、本当に慧眼だと思います。


●造語を多数生み出した明治初期の日本


納富 そうした中、造語として新しい単語(哲学用語)をつくるわけです。それらは今、中国人や韓国人から注目されています。井上哲次郎などを中心に『哲学字彙(じい)』という用語集ないし辞書が編纂されましたが(初版1881年)、それを元にして中国や韓国で今も用いる西洋哲学の翻訳語が、全てではないにしろ東アジア中で共有されています。日本にそういう適応力のようなものがあったのは驚きだと思います。

―― 「経済」にしても、「議会」にしても、「演説」にしても、それはすごいクリエイティビティですね。和製漢語みたいなも...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
「学びたい」心のための環境づくり
人間だけが大人になっても「学び」を持続できる
長谷川眞理子
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎