哲学の役割と近代日本の挑戦
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「近代の超克」――見直すべき哲学に期待した時代の挑戦
哲学の役割と近代日本の挑戦(5)「近代の超克」の時代
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
1942年、当時の名だたる哲学者や論者、芸術家などが集まった「近代の超克」というシンポジウムがあった。戦後、戦争とファシズムを支持したものとして批判され、忘れ去られるようになったが、日本の思想史にとって、彼らの主張は無視できないものがある。今回はそのチャレンジについて、哲学に期待をかけた当時の社会状況とともに検証していただく。(全6話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:6分44秒
収録日:2023年7月28日
追加日:2023年10月28日
≪全文≫

●「近代の超克」はなぜ忘れられたか


―― 戦前に、京都学派を中心とした「近代の超克」という(シンポジウムが)ありましたね。戦後はもう全部消されてしまいましたが、あれに対してはどういう評価をすればいいでしょうか。

納富 本当に今はそういうことをきちんと考えるべきときだと思います。私自身がきちんと検証したわけではなく、印象だけですが、もちろん真剣にチャレンジしていたと思います。また、そのチャレンジは日本だからというわけではなく、あの時代、世界中の哲学者がチャレンジしていました。

 その後で「ポストモダン」という動きが出てきますけれども、まさにその通りで、近代のポスト(後)をみんなが狙っていたわけです。つまりデカルト・カント以来の哲学が行き詰まって、社会全体の構造が(問題を抱えて)しまっている。それを哲学から超えていこうという動きに対して、西田幾多郎などの日本の哲学者は非常に敏感だったわけです。

 逆に自分たちもそれに乗って、かつ日本でやれば彼ら(西洋人)にできないような超え方ができるかもしれない、という素晴らしい野心を持ちました。ところが、それは日本だけで行われたことではなく、ドイツでもアメリカでももちろん同じようなことが行われていました。それぞれがチャレンジして、多少うまくいったところもあれば、うまくいかなかったところもあります。

 日本の場合は軍国主義、ドイツでいえばハイデガーはナチスなど戦争の問題に巻き込まれてしまいました。そのために純粋な学問・文化運動ではなくなってしまったところが、今まさに反省すべきところで、また、それが何だったのかを見なくてはいけないところだと思います。


●当時の哲学者がどういう水準でどこまで頑張ったか


納富 西田について、あるいは三木清についても、日本の哲学者のある種の戦争「加担」というのは失礼だけれども、戦争との関わりについては今でも問題になります。だからといって、その議論を全て無視したり意味がなかったと言ったりするのではなく、(当時の)日本は失敗したかもしれないけれども、失敗も含めて彼らがどういう水準でどこまで頑張ったか。最近はそういうことについて、私の仲間なども多少新しい視野を持ち、見直そうとしています。そこは、日本人にとって大事なことだと思います。

―― やはり彼らは、チャレンジしていたのですね。

納富 今...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(2)情報畑の人びとの「情の厚さ」
情に厚くなければ情報工作はできない…明石元二郎の対露工作の教訓
門田隆将
資本主義の再定義…哲学で考える(2)今の時代の人間観と共生
「共生」の本当の意味とは?…人間はHuman Co-becoming
中島隆博
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(4)ユダヤ人と金融
金融業にユダヤ人が多い理由、そして大国興亡史の裏面のユダヤ人
鶴見太郎
サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生
OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか
桑原晃弥
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(10)弥生人と動物
イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い
藤尾慎一郎
日本神話の基本を知る~世界・人間・文化のはじまり
「国生み・国作り・国譲り・国治め」と「むすひ」の力
鎌田東二